「まあ、いいってことよ」精神で課題を乗り越える

 首都圏を核に、ネット通販、店舗販売で、BtoCを推進する一方、BtoBにも注力するベネクス。最近では、疲労が蓄積しやすいプログラマーたちのパフォーマンスを極大化する目的でIT企業が導入する例や、肉体的消耗の激しい建設会社で導入する例など、法人単位での購入も進んでいる。

 しかし、販売拡大に伴い、製造を委託する工場数が増えており、品質の管理、品質の確保は喫緊の課題になっている。

 一方、海外では、前回述べたように、世界最大級の国際スポーツ用品専門見本市「ISPOアワード2013」(ミュンヘン)において、“革命的なスポーツギア”として「アジアン・プロダクト」部門の金賞を受賞。以来、ミュンヘンに現地法人を設立して、ドイツを中心に現地生産・販売を推進。欧州のトップアスリートたちに愛用されるようになっている。しかし、なかなか現地の一般生活者にまで浸透させ切れない“もどかしさ”が生じている。

ドイツでの新聞報道。現地では“スーパーパジャマ”との愛称も
現地パートナー企業の人々と。ベネクスはドイツを起点に欧州戦略を展開している

 何かにつけて、マンパワー不足など、ベンチャー企業特有の“経営資源の乏しさ”が足枷になっているのは事実。しかし、中村氏は前だけを見続ける。

 地元愛も強い。「自分たちをここまで育ててくれたのは神奈川県」と感謝を繰り返し、本社機能の東京移転は考えない。厚木市に留まり地域の発展に貢献したいという。

 世界的巨大企業群の猛追は迫っている。しかし、「ひとのために生きる」ことを信条とし、「まあ、いいってことよ」の精神で、数々の苦難を乗り越えてきた中村氏。ソーシャルな問題意識をベースに、イノベーティブな製品開発を続けていく限り、おのずと道は開けてくるであろう。愛用者の1人として健闘を期待したい。

ベネクスの社員たち