(英エコノミスト誌 2017年7月1日号)

メイ英首相、女王に謁見へ 新政権樹立の許可求める意向

英ロンドンの首相官邸を出発するテリーザ・メイ首相(2017年6月9日撮影)。(c)AFP/Odd ANDERSEN〔AFPBB News

英国はスエズ危機以来、国際舞台でここまで情けない姿をさらしたことはない。

 英国の作家イーヴリン・ウォーは、1942年5月に妻にあてた手紙の中で、ある軍隊の武勇伝(実話)を詳しく書き記している。

 それによると、英国のある遊撃隊がグラスゴー伯爵に対し、邸宅の敷地内にある古い切り株を爆破して差し上げましょう、「猫の額」のような狭いところに破片がまとまって落ちるようにダイナマイトを仕掛けられます、ともちかけた。

 伯爵は兵隊たちとアルコール付きの昼食を楽しんだ後、そろって爆破の瞬間を見に行った。ところが、切り株は「猫の額」に落ちるどころか15メートルの高さまで飛び、半エーカー分の土と伯爵が大事にしていた周囲の若木の林をもろとも吹き飛ばした。

 悲嘆に暮れた伯爵は邸宅に飛んで帰った。すると窓ガラスが1枚残らず粉々になっていた。泣き顔を見せまいと洗面所に駆け込んだものの、顔を洗って洗面台の栓を抜いたところ、今度は「爆破の衝撃で緩んでいた屋根が丸ごと、伯爵の頭の上に降ってきた」という。

 ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)の是非を問う国民投票から1年経った今、英国はまるでグラスゴー伯爵の邸宅のように感じる。最も明らかなダメージを受けているのは国内政治だ。保守党が混乱に陥っていることから、労働党の党首で極左のジェレミー・コービン氏が半年後に首相になる話をしている。

 しかし、それと同じくらい深刻なのは、世界における英国の立ち位置への打撃だ。英国の地位は1956年のスエズ危機、すなわちエジプトの英国支配をあらためて主張しようとしたアンソニー・イーデン首相の目論見を米国が粉砕したとき以来の低いレベルに落ちている。