原油市場に悪影響を与え続けるトランプ政権

米国の移民取り締まり強化、脱「中東依存」で何が起きるのか

2017.07.07(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50421
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 これが事実だとすれば、トランプ大統領が「エネルギー覇権」を確立するためには、1100万人にも上る不法移民に対する取り締まりを緩めるしかない。

中東は混乱している方が好都合?

 トランプ大統領が中東地域に対する関心を下げていることも気にかかる。

 トランプ大統領は5月にサウジアラビアを訪問し、オバマ政権下で冷え込んでいた両国関係が回復したと言われている。しかし内実は、サルマン家内で王位継承を目論む親子の「大盤振る舞い」を前に、ビジネスマンであるトランプ大統領が貢ぎ物に対してリップサービスをしたということに過ぎないようだ。

 石油危機以降、歴代の米国の大統領は中東地域の安定のために細心の注意を払いながら外交を行ってきた。だが、中東地域からの原油依存脱却を図ろうとするトランプ大統領にとって、中東地域はむしろ少しばかり混乱した方が良いと考えていてもおかしくない。

 トランプ大統領の訪問以降、6月に入りサウジアラビアは湾岸協力国(GCC)の1つであるカタールに対して一方的に断交する「暴挙」に出た。当初、トランプ大統領はサウジアラビアのこの行動に理解を示していた。その後、紛争が長期化する様相を示したためトランプ大統領は仲介の労を示す構えを見せ始めているが、カタールが米国のことを「中立的な第三者」とみなすことはもはや困難である。

暗雲が漂うサウジアラビアの「行く末」

 中東情勢の地政学リスクの高まりが今後原油価格に反映されるとの見方が高まる中で、筆者が最も心配しているのは、やはりサウジアラビアの「行く末」である。

 今年第1四半期のサウジアラビアのGDPは0.5%減となり、2009年以来のマイナス成長となった。原油生産量を減産合意に従い日量1006万バレルから980万バレルに減少するとともに、非石油分野の成長も芳しくなかったからである。経済の減速は年後半に向けてさらに強まる可能性がある(6月30日付ブルームバーグ)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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