原油市場に悪影響を与え続けるトランプ政権

米国の移民取り締まり強化、脱「中東依存」で何が起きるのか

2017.07.07(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50421
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 米国の原油生産ではシェールオイルばかりが注目されてきたが、今後の供給増要因で最も心配すべきは、メキシコ湾の海底油田の生産が加速していることである(6月24日付「日本経済新聞」)。海底油田開発は、シェールオイルと異なり、価格水準に応じて頻繁に生産を止めることができない。そのため、原油価格が40ドル割れしても生産が増加し続ける可能性が高い。

 OPECは、6月の原油生産量が今年最高となった(日量3255万バレル)(7月4日付ブルームバーグ)。注目すべきは減産の適用除外となっているリビアやナイジェリアの増産に加えて、サウジアラビア(同9万バレル)やアラブ首長国連邦(同4万バレル)も増産に転じていることである。

 米FRBの利上げなどによる保管コストの上昇で今年上半期に再び増加したタンカーの洋上備蓄の取り崩しも始まっている(7月1日付日本経済新聞)。

 悪材料が積み重なる状況下で世界の原油市場の均衡を回復するため、米ゴールドマン・サックスは「OPECは減産を拡大すべきである」と指摘している。だが、7月24日にロシアで開催される主要産油国による減産遵守監視委員会で「減産幅を拡大する」との決定が成される可能性は前述したとおりゼロに近い情勢である。

「エネルギー覇権」確立を目指すトランプ政権

 話題を米国のトランプ政権に移すと、大手メディアとの確執は深まるばかりだが、エネルギー政策については自信を持ち始めているようだ。

 トランプ大統領は6月29日、米エネルギー省で演説し、「米国が中東産原油など海外のエネルギーに依存した結果、エネルギーが『経済兵器』となって弱みを握られてきた」という現状認識を示し、その上で「シェールオイルなどの生産を規制緩和などにより拡大し、米国を『エネルギー純輸出国』へ転換させ、輸出拡大により世界の『エネルギー覇権』を握ることを目指す」と表明した。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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