(英エコノミスト誌 2017年7月1日号)

海航集団(HNAグループ)の陳峰(チェン・フェン)会長(2015年4月撮影)。 Photo by World Travel & Tourism Council, under CC BY 2.0.

金融システム浄化運動が外国資産の買収に矛先を向けている。

 ロブスターや鴨のコンフィといったごちそうの振る舞われた宴がたけなわとなったころ、パリの招待客たちから成功を祝福された陳峰(チェン・フェン)氏はまさに上機嫌だった。

 陳氏は、ほんの20年ほど前に小さな航空会社として発足した中国の複合企業・海航集団(HNAグループ)の会長で、ゴルフトーナメントからファッションショーまで、同社が「インターナショナル・ウィーク」と銘打って開催した派手なイベントの数々に出席すべく、フランスを訪れていた。

 折しもこの日、6月24日は同氏の64回目の誕生日でもあった。中国の礼服を着てプティ・パレ美術館のステージに立つ陳氏の横では大量の花火がきらめき、ほろ酔い加減の出席者たちはオペラ歌手の助けを借りながら「ハッピー・バースデー」を合唱した。

 平時であればこの夜は、グローバル企業として名を馳せようとする野心にあふれた新しいタイプの中国企業の一端をうかがわせたことで注目されただろう。しかし、同社を取り巻く状況は異常だった。この数日前に、HNAや高成長を遂げているほかの中国企業3社向けの融資をチェックするよう中国当局が銀行に要求したとの噂が流れていたのだ。

 これを受け、4社の株式や債券を保有する投資家の間ではパニックが生じていた。アナリストの間でも、これらの企業が派手に進めてきた外国資産購入に急ブレーキがかかるかもしれないとの懸念が広がっていた。そのため、陳氏や幹部社員らがこの夜に見せた晴れやかな表情は、HNAに急ブレーキの心配はないと人々を安心させるために作られたもののようにも見えた。