SFが現実に レーザー兵器、米軍でついに実用化迫る

レーザー兵器のデモンストレーションを行う米海軍の輸送揚陸艦ポンセ(米海軍提供)。(c)AFP/Navy Media Content Services/John F. Williams〔AFPBB News

 日本はいま深刻な危機に直面している。ここ数年で安全保障上の危機、とりわけ周辺国の各種ミサイルの脅威が高まっている。また、大規模な地震その他の災害の発生確率も高まっている。

 周辺国の日本に対するミサイル攻撃の脅威については、平時からのサイバー攻撃や特殊部隊による破壊工作などと連携して行われることが多く、これらの複合した脅威にも対処しなければならない。

 また、大規模災害への対応に自衛隊主力が追われている際に、その隙に乗じて領海、領空への侵犯や偵察を行おうとする周辺国もある。東日本大震災発災後、中露はそのような動きを見せた。

 東京オリンピックを控え、日本国内でも、攪乱のための大規模サイバー攻撃や、国際テロ組織による無差別テロ、それらと連携したミサイルの日本近海への撃ちこみ、特殊部隊や潜入工作員による破壊工作などが起きるおそれもある。

 本論では、高まる危機の実態と、それに対処するための具体的な方法を探り、そのためのキーテクノロジーとして、A4S炉(改良型の超安全小型・シンプルな高速原子炉)がいかに必要か、しかも低リスク、低コストで実現可能かを明らかにする。

 福島第一原子力発電所の事故以来、わが国では新型原発の開発や新設が、それ自体が許されないタブーとなっている。

 しかし、日本の直面する安全保障上の危機、とりわけ深刻さを増すミサイル脅威に対処するための画期的なミサイル防衛システムとして、指向性エネルギー兵器の開発配備が世界的に進められている。

 そのため共通に必要とされる最適の電源となり得る、A4S炉という超安全な小型高速の原子炉の技術が日本にはすでにある。これを生かせば、日本の安全保障もエネルギー確保も可能になる。

深刻化する日本に対するミサイル脅威

 これらの脅威や危機に対応するためには、様々な対応策が必要だが、被害規模から言えば、最も深刻な危機は、大都市に対して核・化学・生物などの大量破壊兵器を載せたミサイル攻撃による被害である。

 無防備な大都市に1発でも大量破壊兵器を載せた弾頭が着弾すれば、爆発の規模・様相、地形、気象条件などで異なるが、メガトン級核爆弾なら数百万人、20キロトンでも約50万人、サリンの化学弾頭1トン前後なら半径数キロ以内の数十万人以上が死亡すると見積もられている。

 生物兵器については熱に弱く不安定でミサイル弾頭での実射実験の記録はないが、テロなどでは使われる恐れがあり、数万人から数十万人以上の被害が出るであろう。

 これらの大量破壊兵器数発が同時または連続して各地の大都市部で爆発すれば、日本全国で1000万人を超える被害が生ずるおそれもある。

 これらの被害規模に比べれば、大規模地震や津波のなどの災害の被害規模は、比較的小規模にとどまると言えるかもしれない。東日本大震災での死者・行方不明者は約2万3000人であり、政府が発表したマグニチュード9.1クラスの南海トラフ地震では、最悪33万人の死者が出ると想定されている。