(英エコノミスト誌 2017年6月24日号)

「脱石油」目指すサウジ、国内初の風力発電タービン稼働

サウジアラビア南部のルブアルハリ砂漠で、砂丘を昇る国営石油会社サウジ・アラムコの従業員ら(2016年5月10日撮影、資料写真)。(c)AFP/IAN TIMBERLAKE〔AFPBB News

サウジアラムコは、同社から多額の資金を得ている王国と切り離して考えることはできない。

 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが計画している5%の株式売り出しは、史上最大の新規株式公開(IPO)になりそうだが、それだけではない。同国の石油政策に詳しいある専門家が指摘するように、これは「ジブラルタルがあの岩を売るようなもの」だ。アラムコはサウド家を権力の座にとどめ、昨年には国家予算の60%を提供し、官僚制にどっぷり浸かった国家において効率性の鑑(かがみ)となっている世界最大の石油会社だからだ。

 IPOを主導しているムハンマド・ビン・サルマン氏(31歳)が6月21日に副皇太子から皇太子に昇格したことは、2018年下半期に計画されている株式売り出しの勢いを強めそうだ。このニュースを受け、IPOに批判的な人々(その中には、家宝の一部を売るくらいなら借金をする方がいいのではないか、と考える向きもある)は、さらに脇に追いやられるだろう。

 しかし、IPOの成功が保証されているわけではない。MBSという略称でも知られるムハンマド新皇太子は、サウジアラビアには透明性と自由化の精神を望みたいとの発言とは裏腹に、上場に向けた手続きを事細かに管理しがちだ。この傾向はIPO自体で裏目に出かねない。新皇太子が干渉すればするほど、売り出される株を買いたいという投資家の気持ちは弱くなるからだ。

 IPOの価値の評価においては、アラムコの巨大さよりも、サウジアラビア経済の屋台骨という役割の方がはるかに大きな問題になる。一方では、アドバイザーらいわく、アラムコはコストの低さと従業員の少なさゆえに、エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルといった石油メジャーの優良企業と肩を並べる存在になる。もう一方では、政界から干渉されるリスクがあるため、国営石油会社ゆえの汚名に悩まされる公算が大きい。

 確かに、中国石油天然気(ペトロチャイナ)やブラジルのペトロブラスといった国営石油会社の多くは、現在のアラムコと同じように鳴り物入りで上場を果たした。しかし、民間の石油会社との比較で言うなら、国営石油会社はその後の10年間で計5000億ドルを超える価値を破壊してしまっている(図参照)。