逆に、できるだけ体系化されたシステムをつくらないように意識したほうがよい。

 社内では「粗い」制度をむしろ無秩序に用意しておいて、一人ひとりが自分の価値観や目的に合った制度を利用できるようにする。会社から報酬を与えられ、キャリアを形成してもらうのではなく、自ら報酬を獲得し、キャリアを切り開いていくようなイメージである。

 考え方としては、機会を平等に与えておけば制度間に有利・不利があってもかまわないし、結果的に格差が生じてもよいという割り切りが必要だろう。

社員の転職・独立を活力につなげる仕組みを

 それでもキャリアが社内に限定されている限り、モチベーションには「天井」ができる。いくらがんばっても手に入れられる夢や目標は限られているからである。

 それに対し、外部の夢や目標には際限がなく、モチベーションも青天井になる。実力をつけて憧れの会社に転職するとか、独立して自分が理想とする会社をつくる、コンサルタントとして活躍するといった夢があると、自然に働き方も違ってくる。貪欲に何でも吸収しよう、思い切って挑戦し自分の力を試そうとするし、実力をつけ、実績を残すため待遇と無関係に努力する。