パナマ当局、文書流出の法律事務所を家宅捜索

「パナマ文書」を流出させたパナマの法律事務所モサック・フォンセカが入居するビル。ピケティによるとタックスヘイブンに世界の総資産の約8%があるという(資料写真、2016年4月12日撮影)。(c)AFP/Ed Grimaldo〔AFPBB News

 内閣支持率が急落し、政局が流動化し始めた。安倍内閣は外交・防衛では成果を上げたが、経済政策は空振りに終わり、3期目をやっても展望がない。自民党でも「脱アベノミクス勉強会」が始まり、そのメンバーが石破茂氏や野田毅氏など40人いるので、マスコミは政局がらみで面白おかしく報じている。

 しかし今の情勢では、安倍政権に代わることは難しい。金融政策も財政政策も弾を撃ち尽くしたので、アベノミクスに代わるマクロ経済政策を打ち出す政治的資源がないからだ。かといって消費増税や緊縮財政を打ち出しても、選挙には勝てない。日本経済を建て直す対策はないのだろうか?

デフレの原因は「長期停滞」か

 対策を考えるには、まず現状を正しく認識する必要がある。日本経済の停滞の原因として、人口(特に労働人口)の減少や高齢化がよく指摘されるが、こうした人口要因は2000年代に急に起こったわけではなく、人口減少だけで20年近くもゼロ金利が続くことは考えにくい。

 ゼロ金利は、2000年代前半には不良債権処理に失敗した日本に固有の問題として世界から嘲笑されたが、2010年代に欧米の不良債権問題で同じような症状が起こり、日本は世界のトップランナーとして注目されるようになった。

 この原因を需要不足による長期停滞と考えたのが、ローレンス・サマーズ(ハーバード大学教授)である。彼が指摘するのは、多くの先進国でゼロ金利になっているという事実だ。これはインフレにもデフレにもならない自然利子率がゼロより低いことを示唆する。これがマイナスになっていると、名目金利がゼロでも高すぎる。日本がこのような長期停滞に陥っているという話はよく聞かれる。