原油市場に「暴落」の兆し、防ぐ手段はあるのか

地政学リスク上昇も「後の祭り」か

2017.06.23(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50313
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 関係者の間で重苦しい空気が広がる最中の6月13日、金融情報サイトのZeroHedgeは「原油市場で2014年9月以来初めて『デスクロス(Death Cross)』が現れた」と報じた。「デスクロス」とはチャート分析の用語であり、「50日移動平行線が上から下へ200日移動平均線を交差した点」を指すが、デスクロスの出現は相場が「弱気入り」を示すとされる。原油市場では6月20日に「弱気相場入りした」との認識が広まったが、足元の原油価格と200日移動平均線の乖離は広がり続けており、「暴落」のリスクが高まっている。

 2014年9月当時の原油価格は1バレル=93ドルだったが、その後、弱気相場入りし、同年11月のOPEC総会で「減産見送り」が決定されると、原油価格は2015年1月に同48ドルに半減した。

 現在の原油市場は、「ロボトレーダー」(コンピュータがアルゴリズムに従って市場の動きに高速で反応し自動で売買注文を繰り返す)が支配しているが、「その動きは市場関係者が予想も付かない激しい動きをする」と言われている(6月14日付ZeroHedge)。今年11月のOPEC総会で「減産幅の拡大」が決定されなければ、原油価格は30ドル以下に急落するのではないだろうか(6月15日付OILPRICE)。

「地政学リスク」は万能ではない

 原油価格上昇の材料が枯渇しつつある中、それでも価格上昇を期待する関係者にとっての「最後の望み」は、中東湾岸地域の地政学リスクの上昇である。

 6月頭にサウジアラビアなどが「テロ組織を支援している」としてカタールを一方的に断交したが、現在に至るまで混乱収拾の兆しが見えない状況にある。域内の対立発生時に仲介役を果たしていた米国のトランプ大統領がサウジアラビアへの肩入れを鮮明にしていることが問題の解決を困難にしている。また、トルコがカタールを擁護し、イランが食料の空輸で支援するなど、中東地域を二分する形で対立の構図が広がりつつある。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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