(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年6月14日付)

英EU離脱交渉、19日に開始へ

ブリュッセルの欧州委員会本部に掲げられた英国旗(左)とEU旗(2016年10月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/THIERRY CHARLIER〔AFPBB News

 テリーザ・メイ首相は強さと安定を約束した。これまでに上げた成果はその正反対だった。これがさほど深刻なことでなければ、笑い話だったろう。ドナルド・トランプ米大統領は、自分の国が世界の笑いものになっているとの考えに執着している。英国の場合、その見方は事実に違いない。

 デビッド・キャメロン前首相は欧州連合(EU)離脱の是非を問う無用な国民投票に踏み切り、後任のメイ氏は自らの政治的地位を台無しにしてこれに続いたのだから、英国は実に滑稽に見える。

 また今回の総選挙では、英国がEU離脱(ブレグジット)を実行しながらもそれに付随する取引はしない「ノー・ディール」の道に進む可能性が高まった。「不利な取引をするくらいならノー・ディールの方がましだ」との言い分に反し、実際は英国とEUの双方にとって大きな災難となるだろう。

 皮肉なのは、今回の総選挙で保守党は42.4%という1983年以来の高い得票率を記録したことだ。これは前の議会(2015~17年)での平均支持率(この期間中のほぼすべての月で得られた世論調査の結果の平均)をも上回っていた。

 想定外だったのは、労働党に少数政党の議席を奪う力があったことで、小政党の得票率は1970年以降で最も低い水準に落ち込んだ。永遠の反体制派であるジェレミー・コービン労働党党首は、有権者を言葉巧みに引き込む「抵抗運動の笛吹き男」の理想であることを実証してみせた。

 メイ首相は議会での過半数と権威を失った。ジョージ・オズボーン前財務相が指摘したように、今では「デッドウーマン・ウォーキング*1」だ。メイ氏は今、何かにつけて文句を言う民主統一党(DUP)が頼りだ。

*1=死刑台に向かって歩く死刑囚の意。1990年代の映画「デッドマン・ウォーキング」をなぞった表現。