(英エコノミスト誌 2017年6月10日号)

中国・吉利汽車、ASEANと英国市場進出に意欲

マレーシアの首都クアラルンプールで行われた、吉利汽車(Geely Automobile)とプロトン(Proton)の調印式(2017年5月24日撮影)。(c)CNS/趙勝玉〔AFPBB News

コモディティー会社や「トロフィー」資産の高値づかみが常態化している。

 中国経済の規模を考えれば、中国企業が国際舞台でいずれとてつもなく大きな役割を担うことは避けられないように見える。ただ、「中国株式会社」が過去15年間に外国で行ったM&A(企業の合併・買収)という冒険の成果は玉石混交だ。小さな取引は数千件にのぼり、中には成功するものもあるだろう。

 だが、取引金額が10億ドル以上の大型案件に限定すると、違う風景が見えてくる。頓挫したものが56件、国家の支援を受けてコモディティー会社を割高な価格で買ってしまったものが39件に達し、最近ではホテルやサッカークラブなど、成功を記念するトロフィーのような資産を富豪が買いあさったりしているのだ。

 一般的な論理を無視して実行されたものもある。中国の海南島で設立され、航空会社や観光関連の事業を営むコングロマリット(複合企業)の海航集団(HNAグループ)は先月、ドイツ銀行株の保有比率を10%に引き上げたことを明らかにした。以前にはドイツのとあるランデスバンク(州立銀行)の買収も検討していた。

 北京でビーチバレーボール大会を主催する同社は、小さな銀行がひしめくドイツの銀行業界を再編できると考えているようだが、金融の世界ではそれは中東に平和をもたらすことに匹敵する難題だ。中国株式会社が外国でその潜在能力を開花させようというのであれば、もっと現実味のあるアプローチを取らねばなるまい。

 20世紀に英国が、そしてそれに続いて米国がたどった経験を振り返ると、経済的な覇権を手にした国は、外国企業への投資の累計額におけるシェアが国内総生産(GDP)などのそれよりもかなり高いことに気がつく。今日の中国は、世界全体のGDPに占める割合が15%で、世界の株式市場の時価総額に占める割合も13%あるものの、外国企業への投資の累計額におけるシェアは4%にすぎない。

 中国の指導者たちは、企業にもっと速いペースで外国投資をさせたいと思っている。不動産大手、大連万達グループのトップで中国一の富豪と言われる王健林氏は自伝の中で、企業がグローバル化しなければ中国は強い国になれないと力説している。