長く日本の産業を支えてきた、機械加工技術と電気制御技術、そして材料を開発する化学技術。私たちの便利な生活のベースとなる自動車や家電、情報機器といった機械を作っているのは、今も昔も機械・電気・化学分野のエンジニアたちである。

「産業のベースとなっているのは今も基幹工学だ」と語るのは、竹内貞雄・基幹工学部学部長。
技術革新の必要性が増す時代に、実践的なエンジニアを求める社会の需要はなお増している。平成30年度より新設される基幹工学部では、社会の要請にこたえ、産業の基幹分野で求められる基礎的技術と最先端技術を習得してものづくりに対峙できる実践的なエンジニアを養成するという。

日本工業大学 基幹工学部 学部長 竹内 貞雄 氏

機械工学科、電気電子通信工学科、応用化学科の3学科で構成される基幹工学部。頭だけでなく身体で覚えることを重視するポリシーはどの学科も変わらない。
「幅広く分野全体を学びながら、1年のうちから専門科目を取り入れ、実験・実習を重視して実物に触らせる。ものづくりのためには想像し、創造する力が必要だが、そのためにはまず違和感なく機械や装置を使いこなせなければならない。本学部のカリキュラムでは、具象から抽象へという順序で学んでいく」と竹内学部長。

実験・実習では、単に装置を触らせるだけではなく「例えば条件を変えたら何が起こるか、など、次のステップを想定した布石をたくさん置いておく」。
知識の水路付けをすることで、頭で学んだ知識と身体を使って学んだ情報を接続し、体系的に整理させる。そのためには、科目間の繋がりが重要であり、授業を公開にして教員相互のアドバイスによる連携を習慣付けるなどの仕掛けが機能しているという。
 

とにかく機械に触れて、工学の基盤を習得する機械工学科

 産業革命以来、私たちの生活を支えてきた機械工学。
「機械」と一言で言っても、デザイン・材料、エネルギー・制御、設計技術などと、学ぶべき分野は幅広い。

「機械工学科では、機械系分野全体を網羅する思想を学んでいく」という竹内学部長。
「同時に、早い段階で機械に触らせる」というのが、実学重視のカリキュラムの特徴だ。
「今の子供たちは、歯車を見ることも少ないだろう。今のおもちゃは、蓋が開かず、中が見えない。そこで、学生たちにはまずは機械が動いているところを見せてから学ばせる。パワーポイントで説明したり、デモンストレーションを見せたりするのではなく、学生たちが、主体的に動かす」
本学科は、広い敷地を生かして研究設備を充実させており、卒業研究のための実験室とは別に一人1台の事務机を設置した卒業研究生の居室が確保されているという。

 

社会を支える動力設備やエレクトロニクスを学ぶ
電気電子通信学科

 電気もまた、情報機器が私たちの生活の根幹に入り込む現代において、欠かせない基盤技術のひとつだ。
電気といってもその中には様々な分野がある。強電と呼ばれ、高電圧・大電流を扱って発電などの社会インフラを支える「電気」分野から、弱電と呼ばれ、低電圧・低電流を扱って電子部品や半導体などに代表されるエレクトロニクス社会を具現化する「電子」分野。情報ネットワークなどの通信技術を扱う「通信」分野。

「機械工学科と同様、この学科でも電気電子通信の分野を、実験・実習を交えて広く学ぶ」と竹内学部長。「機械工学科と異なるのは、電気に関する実験設備はコンパクトで済む点。それ故に、2人一組といった少人数での実験を実践することが可能だ」という。

「機械を動かし制御するためには電気が必要で、電気技術者はどこでも必要とされる。卒業生の進路は幅広い」という竹内学部長。
「学生たちは、少人数での実験や実習を通じて現物に触れながら電気電子の仕組みを学んでいるため、職場に入ってもすぐに仕事になじむことができる」

 

新しい材料を作る応用化学科

 新しい物質の合成や製造、物質の未知の性質の発見など、化学には生活を大きく変える可能性がある。その研究のためには科学全体に対する幅広い知識が必要だ。
本学科が目指すのは、化学や物理、生物など、複数の領域の理論と最先端の技術を駆使して、新技術や新物質を開発すること。学びの系統は物質デザイン・材料科学・生物工学など多岐にわたり、教員の布陣もバラエティに富んでいる。

実践的なエンジニアとなった卒業生は、化学関連産業で活躍する。表面処理関連企業や製薬関連企業も多い埼玉県では求人も絶えず、地元に「確実な需要がある」と竹内学部長は語る。

 

実物に触れ動かすセンスを身につけた学生たち

 2016年度、日本工業大学は、企業から見た大学の就職力ランキングで、「独創性」の側面において全国の私立大学で4位につけた。
「早い段階で専門科目を取り入れることで、実物を触るセンスが磨かれ、卒業生は配属された職場ですぐに躊躇なく装置を操り、改善点を指摘することができる。また、在学中から実験や実習の機会が多いため、彼らはチームで教え合うことに対してとても素直だ。企業からはこういった点を評価されたのではないか」と竹内学部長は胸を張る。

 

<取材後記>

 取材の後、最先端の工作機械が並ぶ機械実工学教育センターとともに研究室を訪ねた。機械を調節しながら実験に取り組む学生たちの姿には、真剣さと同時に「好きなものを触れている」という喜びが感じられた。
実験にあたってちょっとした機械が必要になった際には、作りたい学生が手を挙げて作るのだという。
「努力は夢中にはかなわない」と笑う竹内学部長の言葉に、当たり前に機械がそばにあり、違和感なく機械を触れ夢中になれる環境の素晴らしさを感じた。


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