チェルノブイリ原発事故で汚染された埋葬の村

小児甲状腺がんの発生が止まっていない

 ぼくたちの国は、見えない何かに支配されてしまいやすい。

 前回、「福島県で急速に増え始めた小児甲状腺がん~『臭い物に蓋』をしては後で大問題に・チェルノブイリの経験生かせ~」(2017.4.19)を書いた。

 たくさんのアクセスがあり、「いいね」が4000件を超えた。福島の小児甲状腺がんの確定診断がついたのが145人、さらに、がんの疑いで手術や検査を待っている子供が38人だった。

 6月5日に福島県民健康調査検討委員会の評価部会が開かれ、甲状腺がん検査の途中経過が公表された。2011年度から始まった1巡目、2014年度からの2巡目に続き、2016年度から行われている3巡目の検査の途中である。

 2巡目の検査中、精密検査や手術が行われ、がんの確定がさらに5人増え、2巡目だけで49人ががんの診断を受けた。1巡目と2巡目で150人である。3巡目の検査の途中で、2人が確定し、福島の小児甲状腺がんは152人となった。

 さらに、2人ががんの疑いと診断されている。これまで1例を除き、「疑い」があった子供はその後がんの確定診断が下っているので、がんの子供の数はまだ増えるだろう。190人近くになる可能性がある。

不都合な5歳以下の小児がん

 フォローの見落としも気にかかる。

 事故当時4歳の男児が、「経過観察」と判断された後、福島県の検診のフォローアップの対象から外れた。専門病院で経過観察中に甲状腺がんとの確定診断を受けたが、検討委員会の把握は遅れた。

 「今後は不可欠な情報として扱う」と検討委員会委員長は述べている。しかし、意図的な隠蔽があったのか。単なるシステムの欠陥ではなかった可能性がある。

 検討委員会は、「多発している子供たちの甲状腺がんは、福島原発事故の放射線の影響とは考えにくい」という中間とりまとめを既に出しており、その理由として、放射線の放出量が、チェルノブイリ原発事故と比べて小さいことを挙げている。

ベラルーシ共和国の肥沃な大地が汚染された