(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年6月10/11日付)

メイ首相の「最も行儀悪い行為」は総選挙、英ネットで嘲笑

英選挙の投票締め切りから数時間後、ロンドン中心部の保守党本部を後にするテリーザ・メイ首相(2017年6月9日撮影)。(c)AFP/Ben STANSALL〔AFPBB News

 時として、カオスの中に救いがある。

 決定的な結果とならなかった英国の総選挙は、欧州連合(EU)との将来の関係の条件を考え直すチャンスを同国に与える。ブレグジット(英国のEU離脱)は、テリーザ・メイ首相の政府が想像したような激しい決裂を意味する必要はない。だが、それよりましな結果は、英国のパートナー諸国の寛大さと忍耐を試すことになる。

 欧州大陸の人々が情け容赦なくても許されるだろう。今や大きなダメージを負ったメイ政権はこれまで、今月予定されている正式な離脱交渉開始に向けて、威張り散らしていた。ブレグジット支持派は、英国は死体につながれていた鎖を解くと豪語していた。メイ氏は選挙で新たな負託を得て、EUに身の程をわきまえさせるはずだった。

 実際には、英国が欧州の成長ランキングの最下位に落ち込む一方で、ユーロ圏諸国は上向きつつあった。フランスには、エマニュエル・マクロン氏という経済近代化にコミットしたダイナミックな大統領がいる。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は国内のポピュリスト(大衆迎合主義者)を撃退し、4期目を勝ち取る見込みだ。仏独の機関車は、側線から引っ張り出されている。

 なぜほかの人が、英国が自ら掘った墓穴からはい上がる手助けをしなければならないのか。ドイツには無責任な英国人を救済するよりも差し迫った優先事項があるとメルケル氏が判断したとしても、いったい誰が同氏を責められるだろうか。あるいは、マクロン氏が「ロスビフ*1 」が自らの驕りに倒れた光景を楽しんだとしても、責められるだろうか。

*1=rosbifはフランス語でローストビーフのこと。英国人に対する蔑称として使われることがある。