社員の「人の良さ」が数字に現れる

──政府が「働き方改革」の旗を振り、それに呼応する形で、さまざまな企業で働き方改革の取り組みが進められています。LIFULLでも働き方を改革するために制度を変えたり、新しい仕組みを導入したりしているのでしょうか。

羽田幸広氏(以下、敬称略) 働き方改革を意識して施策を変えたりすることはあまりありません。もちろん法令は順守しますが、ルールを設けて「早く帰ってください」と言ったりはしません。法令の範囲内で、働きたい人は好きなだけ働けばいいし、早く帰らなければいけない人は早く帰ればいい。その人に合った働き方ができればいいと思っています。会社としては、そういう人たちを束ねて大きな成果が出せればいいという考えです。

──LIFULLでは有休取得率が85%、女性社員の育休取得率と復帰率が100%、男性の育児休業取得率が18%など、働き方改革のあるべき姿から見ると素晴らしい数字が出ていますよね(注)。これはなぜなんでしょうか。

(注)厚生労働省の調査によると、日本企業の有給取得率の平均は48.7%(2016年度)。男性の育児休業取得率は2.65%(2015年度)に過ぎない。

羽田 いろいろなところでその理由を聞かれるんですが、当社では有休や育休の取得を奨励するような働きかけは特にしていません。有休取得率や育児休業取得率が何パーセントとかあまり意識したことがないんです。たまたま調べなければならない機会があって調べてみたら、その数字だったということです。

──数字を目標にしているわけではないのですね。

羽田 はい。企業文化がこの数字を自然に作ってくれました。例えば、新卒採用セミナーに登壇したある男性社員がこういう話をしていました。奥さんが妊娠してそろそろ出産しそうな時期になったら、周りのみんなから「育休を取らなくていいの?」と聞かれたそうです。「取らなくて大丈夫なの? 取った方がいいんじゃないの?」と周りが気にかけてくれたというんですよ。