(英エコノミスト誌 2017年6月3日号)

シンガポール国立大「わいせつ新歓」が物議 模擬レイプなど強要か

シンガポールの金融街(2015年11月25日撮影、資料写真)。(c)AFP/ROSLAN RAHMAN〔AFPBB News

都市国家シンガポールの成功には、賞賛すべきことが多々あるが、真似できることはほとんどない。

 シンガポールは常に信奉者に事欠かない。発展途上国の多くの指導者は、政治的な自由の拡大を求める欧米の声に抵抗しながら、この都市国家を第三世界から先進国の地位へ発展させたことで建国の父リー・クアンユーを尊敬している。

 残酷なルワンダ大統領、ポール・カガメは自分の国が「アフリカのシンガポール」になることを望んでいる。フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテのファンは、彼をリー・クアンユーになぞらえる。強い意志を持ち、犯罪と汚職に不寛容な指導者だというわけだ。

 最近、先進国もこの島国に目を向け始めた。

「オバマケア(医療保険制度改革法)を捨て去りたいなら、シンガポールの医療の奇跡をコピーしよう」。ドナルド・トランプが米大統領に選出された直後、保守系テレビ局フォックス・ニュースのウェブサイトに掲載された寄稿はこう謳い上げ、「奇跡」は共和党支持者にとって大切な2つの要素――「消費者に力を与え、競争を育む」こと――にかかっていると論じていた。

 一部の声高なブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)支持派は、英国を「テムズ川沿いのシンガポール」に変えることを夢見ている。欧州との貿易を熱心に望む企業にとって安全な、税率が低く、規制が緩い国だ。

 ゾウの身体の一部だけを手探りで触り、どんな動物か描写する、例のことわざに出てくる盲人たちのように、こうした信奉者は皆、シンガポールについて何かを正しく理解するが、全員が全体像を見逃す。