(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年5月29日付)

高層ビル立ち並ぶ上海の夜景

中国・上海(Shanghai)の浦東(Pudong)地区の夜景(2014年7月31日撮影)。(c)AFP/JOHANNES EISELE〔AFPBB News

 中国共産党が関心を持ったテーマのうち、「ソビエト共産党がたどった運命を回避する方法」ほど詳細に研究されたものはほとんどない。習近平国家主席は2012年に実権を握った後、党内部の会議において、ソビエト連邦にはミハイル・ゴルバチョフとグラスノスチ(情報公開)に立ち向かえるだけの「男らしさを備えた」人間が1人もいなかったと述べた。

 しかし、習氏にとっては、同じ時代に起こった別の歴史的出来事の方が当面は気になるかもしれない。それは、30年ほど前に日本で膨らみ始めた後、日本国民の自信を喪失させ、企業を萎縮させ、何十年も残る傷を経済にもたらした不動産・株式市場のバブルのことだ。中国では今、この展開を避けることが何よりも重視されている。

 中国政府にとって、バブルは新しい懸念材料ではない。事情をよく知る2人の中国人研究者によれば、中国の総債務残高が国内総生産(GDP)比で200%に達しつつあった2010年に、国家副主席だった習氏は中国共産党中央党校の学者たちにこの問題を研究するよう要請した。

 その後まとめられた報告書には、日本のバブルから得られる教訓の概要がいくつか列挙されていた。中国政府は金融リスクに対する意識を高め、「経済的主権」を維持し、為替政策の変更を求める圧力に屈しないようにする必要がある、などと説かれていたという。

 それから7年。中国の総債務残高はGDP比250%に達し、なお増え続けている。政府当局は、天井知らずの不動産価格を抑制しようとする一方で、2015年に破裂した株式バブルの余震にも対応している。習氏は4月、中国の指導者たちに、「金融の安全性を維持する」ことが必要だと警鐘を鳴らした。

 だが、中国が日本化するリスクは果たしてどれほどあるのだろうか。2017年の世界第2位の経済大国である中国は、1989年の世界第2位の経済大国と同じ道――日本式の「失われた二十数年」――をたどるリスクを冒しているのだろうか。

 もし万一、日本のたどった運命が中国でも繰り返されることになれば、世界経済には甚大な影響が及ぶだろう。中国は今日、世界全体の経済成長の40%をたたき出している。また、米国の輸出品の20%超を購入している(この数字は1980年代半ばの日本のそれと同じだ)。