規制緩和措置では、オペラ地区やシャンゼリゼ地区など国内に21あるZTI(国際観光地区)では「労使合意の成立」を条件に、通年の日曜営業を認めている。

 百貨店でも労使交渉を進めたが、全体での合意はできず、個別に労使合意(産業別又は企業単位)を目指すこととなる。翌年には日曜営業を開始する店舗もみられるようになり、パリの百貨店BHVのマレ店では日曜営業を始めることで売上が8~10%増加したという。同店舗の日曜勤務は、100%の割増賃金と託児支援金(1日当たり55ユーロ)の付与という条件が提示された。

 百貨店の交渉の内容は各店によって異なるが、多くは、日曜勤務の日数の制限を設けること、日曜勤務の割増賃金(おおよそ2倍から3倍程度)、託児費用の支払い(50~100ユーロ程度)、その他タクシー代などの交通費支給といった、日本と比較すると破格の条件の提示がされている。

百貨店「ギャラリー・ラファイエット」の日曜出勤の報酬は3倍

 大手百貨店のギャラリー・ラファイエット、プランタン、ル・ボン・マルシェの3店とも労使合意に手間取り開始が遅れていたが、ようやく2017年からの日曜営業に踏み切った。中でも最も労使合意が早かったのはギャラリー・ラファイエットだった。

 パリ・オスマン通りにあるギャラリー・ラファイエット本店では、2017年1月8日から日曜営業を本格導入した。日曜日の営業時間は11時から19時まで。同店舗で結ばれた労使合意では、日曜勤務を希望する従業員は年間8日までを上限として働くことができる。同店舗によると、「日曜勤務を希望」した従業員は92%、また「8日間を希望」した従業員は62%と、従業員の多くは新制度を歓迎している。

 多くの従業員が日曜勤務を希望するのはなぜか。その理由は、労働条件の良さにあるようだ。

 同店舗の従業員の選択肢は3つあり、(1)通常の2倍の給与と1日間の代休、(2)通常と同じ給与と2日間の代休、(3)3日間の代休、の中から希望する待遇を選択できる。つまり、従業員の日曜出勤の割増は通常勤務の3倍の報酬となる。

 交渉では、当初は2倍の給与と年間12日の日曜勤務を提示したが、合意に至らなかったという。同店舗では年間に5~10%の売上高増加を見込んでおり、企業と従業員がWin-Winの関係性へとつながったようだ。また、新たに500人を採用するなど雇用創出にもつながっている。