(英エコノミスト誌 2017年5月27日号)

食肉不正で30人逮捕のブラジル、大統領自ら試食で安全性アピール

ブラジルの首都ブラジリアのステーキレストランで、各国の外交官らとステーキを食すミシェル・テメル大統領(2017年3月19日撮影)。(c)AFP/EVARISTO SA〔AFPBB News

ミシェル・テメル大統領は深刻なトラブルに陥っている。だが、同氏には底力がある。

「引きずり下ろしたいなら、引きずり下ろしてみろ!」

 ブラジルのミシェル・テメル大統領は5月22日、ある新聞のインタビューで啖呵を切った。この国の大統領が不正を働いた疑惑と支持率の低迷に直面し、その地位を奪われまいと必死に戦う姿を目にするのは、この1年で2度目だ。

 前任のジルマ・ルセフ氏は2016年、厳密に解釈すれば財政責任法違反になるとの理由で弾劾された。それに比べればテメル氏の疑惑の方がはるかに重大だが、それでも大統領の座にとどまる可能性はテメル氏の方が高いかもしれない。

 現在の地位にとどまるか否かにかかわらず、テメル氏に対する嫌疑は非常に重要な意味を持つ。同氏の威厳や影響力が打撃を受ければ、過去最悪の景気後退からようやく回復しようとしているブラジル経済にとって必要不可欠な改革が遅れ、下手をすれば頓挫することになるからだ。

 テメル氏の災難は5月17日、オ・グローボ紙の報道をきっかけに始まった。裕福な実業家のジョエスレイ・バチスタ氏が録音したテープの中で、国営石油会社ペトロブラスの汚職事件で勾留中の政治家に口止め料を支払うことをテメル氏が了承していると報じられたのだ。

 もともとはペトロブラスの件だけにかかわる話だったが、今ではほかの件にも飛び火している。

 関連のおとり捜査では、テメル氏の属するブラジル民主運動党(PMDB)の議員で、かつてテメル氏の右腕だったロドリゴ・ロウレス氏が、現金50万レアル(15万3000米ドル)の入ったバッグを受け取るところを警察に録画された。バチスタ氏とその部下は、違法な資金を用立ててくれないかとテメル氏にしつこくせがまれた、と主張している。