急成長を遂げた中国のビール市場が大きな曲がり角を迎えている(写真はイメージ)

 名実ともに世界最大で、さらなる高成長が期待されてきた中国のビール市場ですが、ここ数年はマイナス成長を記録するなど大きな曲がり角を迎えています。

 背景には消費者の嗜好多様化、ぜいたく禁止令などの影響が指摘されています。業界内では収益確保に向け、市場を寡占する大手同士の提携による業界再編の噂も出始めてきました。再編に絡み、現地では日系ビールメーカーの動向に注目が集まっています。今回は世界最大のビール市場の現状と動向についてまとめてみました。

 なお、中国のビール市場に関する統計は、政府や業界団体がきちんとした統計データを毎年発表していません。よってどこが発表したかによってデータの数値にばらつきがあるため、記事中で引用している数値はあくまでも参考値ということでご理解ください。

急成長から3年連続のマイナス

 まずは現在の世界のビール市場について概況を見ていきましょう。

 下の表はキリンホールディングスが公開している2014年における世界の国別ビール消費量の統計データです。データを見て分かる通り、1位の中国は2位の米国に対し約1.9倍、7位の日本に対し約8.3倍の消費量となっています。世界のビール消費量の2割以上を一国で占めているわけで、国単位としては極めて大きな市場であることが分かります。

国別のビール消費量(2014年)
出所:キリンホールディングス統計

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50166