アフガンのISトップ殺害 米軍などが4月に急襲

アフガニスタンの首都カブールから飛び立ったヘリのテールゲートに座った米兵(2017年4月24日撮影)〔AFPBB News

 「特殊部隊の兵士たちのストレスレベルは限界に近づいています」

 米連邦議会で5月初旬、こう証言したのは米統合特殊作戦軍(SOCOM:いわゆる特殊部隊)の司令官を務めるレイモンド・トーマス大将である。

 特殊部隊の兵士たちの任務が以前よりも過酷になり、精神的、肉体的、心理的に疲弊してきていると米上院軍事委員会で訴えたのだ。さらに人員配備の観点からも、以前より兵士にしわ寄せが来ている。

 2年前、当欄で特殊部隊についての拙稿を記した(「世界の警官から秘密警官へ、米国の恐ろしい急変ぶり」)。

オバマ政権下で特殊部隊への比重高まる

 ジョージ・ブッシュ政権からバラク・オバマ政権に移行した後、米国は世界各地に大規模な軍隊を派遣する代わりに、秘密裏に動ける特殊部隊を送り込むようになった現状を報告した。

 端的に述べると、オバマ大統領はブッシュ政権が始めた戦争(アフガニスタン、イラク)をすぐに収束できない反省から、他地域への地上軍派遣を推し進めなかった。「米国はまた戦争を始めた」と内外から反発を招くことを恐れていたこともある。

 そのため、シリア国内のイスラム国(IS)を殲滅する目的で地上軍は派遣しなかった。代わりに特殊部隊を派遣した。現在、シリア国内には約600人の特殊部隊が入り込んでいる。

 もちろんシリアだけではない。2年前の拙稿では、累計で世界135か国に特殊部隊が派遣されてきたと書いた。そして70か国で活動中と書いた。2017年現在、累計では138か国、現在進行形として80か国以上で特殊部隊が展開中だ。

 単純に数字上だけでも特殊部隊への期待と責務が高まっていることがうかがえる。同時に、彼らへの負担が増しているのも事実なのだ。トーマス大将は議会で述べている。

 「特殊部隊の必要性はかつてないほど高まっています。世界中で発生する安全保障の脅威に対応するために、今後は革新と呼べるだけの変革が必須になります。何らかの対応策を講じなくてはいけません」