(英エコノミスト誌 2017年5月27日号)

英マンチェスター爆発事件、これまでに分かったこと

英マンチェスターアリーナ近くの電光掲示板に表示される英国旗と追悼のメッセージ(2017年5月23日撮影)。(c)AFP/Ben Stansall〔AFPBB News

サルマン・アベディ容疑者の単独犯行ではない模様だ。計画を練った人物が再び攻撃を仕掛けてくる恐れがある。

「我々は敗北を受け入れない、同情もいらない」。イングランド北部の都市マンチェスターで5月23日、地元在住の詩人トニー・ウォルシュ氏が、前夜の自爆攻撃で殺害された子供など計22人を追悼する集会で読んだ詩の一節だ。集会にはイスラム教徒の慈善団体が参加したほか、シーク教徒のグループも参加者に無料で飲み物を振る舞った。

 このグループには、「ヘイトはヘイトの解決にならない」といったスローガンをプラカードに書いて掲げるメンバーもいた。英国が2005年7月7日以降で最悪のテロ攻撃を受けたことに対し、人々は連帯していることを意識的に示そうとしていた。

 マンチェスター市民がこうした街頭での集会に参加している間に、テロ対策を担当する当局は今回の攻撃計画の出所を徹底的に調べていた。当局はこのところ、過激派組織と特に接触することなく過激化した「ローンウルフ(一匹狼)」と呼ばれるテロリストの登場を懸念している。

 例えば今年3月には、イスラム教に改宗した英国人のハリド・マスード容疑者がロンドン中心部のウエストミンスターで、1台のレンタカーと1本の包丁だけで5人の命を奪っている。しかし今回、マンチェスター・アリーナで爆弾を爆発させた22歳のリビア系英国人サルマン・アベディ容疑者は、単独犯ではなかった模様だ。

 そのためテリーザ・メイ首相は、英国のテロ警戒レベルを最も高い「危機的」に10年ぶりに引き上げた。攻撃が「切迫している」恐れがあるという意味だ。これを受けて政府は、1000人近い兵士を動員して英国議会議事堂などの警護にあたらせ、そこに詰めていた警察官をほかの場所に派遣できるようにした。

 アンバー・ラッド内相は、今回の措置は一時的で「常時見直す」ことになると語った。確かに、英国はフランスと同じ道を歩むことを望んでいない。フランスは2015年11月のパリ同時多発テロ事件を受けて非常事態宣言を発令し、その後ずっとこれを解除できずにいる。5月下旬も、エマニュエル・マクロン新大統領がさらに6カ月延長することを要請したばかりだ。