(英エコノミスト誌 2017年5月20日号)

トランプ氏、FBI長官「解任するつもりだった」捜査対象か3回確認

米ホワイトハウスの大統領執務室でヘンリー・キッシンジャー元国務長官(写真外)と会談するドナルド・トランプ大統領(2017年5月10日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

特別検察官がロシア疑惑の独立した調査を主導する。

「率直に言って、特別検察官の設置は必要ない」。ショーン・スパイサー米大統領報道官は5月15日、ジャーナリストらにそう言った。ドナルド・トランプ氏の選挙チームから支援を得て、ロシアが昨年11月の大統領選挙に影響を及ぼそうとしたとの疑惑について、捜査の独立性は確保されるのかという懸念に対する答えだった。

 ところがその2日後の5月17日、司法省は、まさにその独立した捜査官を任命できる特権を行使したと発表した。これにより、米連邦捜査局(FBI)が進めてきたロシア疑惑の捜査の中心部分は、高い評価を受けているロバート・モラー元FBI長官に委ねられることとなった。モラー氏は特別検察官として捜査を指揮したり、自分の判断で容疑者を告訴したりする権限を与えられる。

 トランプ氏にとっては大打撃だ。米国の諜報機関はロシアの介入があったと言っているが、大統領は以前から、そうした介入はなかったと話しており、自分のアドバイザーとロシアが共謀したこともないと述べている。FBIの捜査については「納税者の資金でやる猿芝居」だと形容していた。

 その一方で、トランプ氏はこの捜査に介入しようとしたとの批判を浴びている。5月16日付のニューヨーク・タイムズ紙によれば、駐米ロシア大使と秘密裏に会合を持ったうえにそれについて虚偽の説明をしたとの理由でマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任した後、トランプ氏はジェームズ・コミーFBI長官(当時)を呼び出し、フリン氏を放っておいてほしいと要請したという。

 トランプ氏がこうしてこき下ろそうとし、ひょっとすると身をかわそうとした捜査は今後、非常に恐ろしいものになる。たとえトランプ氏にやましいところがなくとも、これはかなり屈辱的な事態だ。