(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年5月18日付)

トランプ大統領、報道ニュース出ずっぱりもほぼ否定的内容 調査

米首都ワシントンのホワイトハウスで記者の質問に答えるドナルド・トランプ米大統領(2017年5月18日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

 米国の政治システムが本来あるべき形で機能していたら、ドナルド・トランプ大統領は今ごろ深刻なトラブルに陥っているだろう。最終的に弾劾にまで発展し得る措置を連邦議会が講じているか、この人物はホワイトハウスの長には不適格だと大統領の側近が結論づけるかしていたはずだ。

 しかし、トランプ氏は切り札を隠し持っている。選挙で選ばれて公職に就いている共和党員のうち、あえて自分に逆らおうとする人がいない、というのがそれだ。彼らは反旗を掲げることは考えるものの、サイバー空間でリンチを受けて政治生命を絶たれる危険性があることも分かっている。共和党の大統領候補指名争いでトランプ氏に敗れたジェブ・ブッシュ氏に聞いてみるといい。

 米国政府は今、危険な袋小路に入り込んでいる。トランプ氏に米軍の最高司令官になる資質がないことは、ほとんどの人が知っている。ところが、その状況を是正する権限を持つ人々が、誰一人として行動する勇気を持てずにいるのだ。

 米国にとって、そして世界にとっても悲劇なのは、この状況が少なくとも来年の中間選挙まで続きそうなことだ。トランプ氏が司法の妨害を試みている様子は明らかにうかがえるが、言葉巧みにごまかされている(リチャード・ニクソン元大統領の弾劾で最初に指摘されたのも司法妨害だった)。また、米国民の4分の1から3分の1はトランプ氏を強く支持しており、トランプ氏に反抗的な政治家を予備選挙で排除する力を持っている。

 トランプ氏の支持者たちは、ほかのメディアとはかなり異なる観点から世界の様子を伝えるニュースサイトで構成される、閉じられた生態系によって煽られている。例えば、この生態系の内側では、トランプ氏はジェームズ・コミー米連邦捜査局(FBI)長官を解任しなかった。フォックス・ニュースの報道では、コミー氏は辞任したことになっている。

 同様に、トランプ氏はロシアの外務大臣に機密情報を開示しなかったし、マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の捜査をやめるようコミー氏に圧力をかけたこともなかった。いずれも偽ニュースだというのだ。