(英エコノミスト誌 2017年5月13日号)

米大統領、全米ライフル協会総会で異例の演説 「真の友人」強調

米ジョージア州アトランタで全米ライフル協会(NRA)が開いたリーダーシップフォーラムで演説するドナルド・トランプ大統領(2017年4月28日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

米国大統領の浅薄さと一時の感情に左右されやすい傾向は、法の支配に加えて経済をも脅かす。

 ドナルド・トランプ大統領はワシントンを我が物顔で支配している。あたかも自分が王様で、ホワイトハウスが宮殿であるかのようだ。権勢を誇示するところ、関心の的になっていないと気が済まないところ、そして衝動的に行動するところなどは、16世紀のイングランド王・ヘンリー8世を思わせる。

 また、自分が普通とは異なるルートで大統領の座に上り詰めたのは、連邦議会や官僚機構、メディアなどが総じて凡庸であることの証だと信じていることも手伝って、自分の邪魔をする人物や概念はどんなものでも攻撃している。

 こうしたことが果たしてどれほどのトラブルをもたらし得るのかをセンセーショナルに示してくれたのが、今月のジェームズ・コミー連邦捜査局(FBI)長官の解任だった。FBI長官の解任は、今回を含めてこれまでに2度しか行われたことがない。

 確かにコミー氏はミスを犯したし、トランプ氏には長官を解任する権限があった。だが、大統領は結局、自分とロシアとのつながりをめぐる疑惑や、王様気取りの為政者にタガをはめるための規範を軽蔑している様子に注目を集めるだけに終わっている。

 しかし、普通の米国人にとってこれと同じくらい危険で、重要さでも劣ることのない問題点が存在する。トランプ氏が打ち出した経済計画がそれだ。

 この計画では、正統派の経済学の考え方、正確性、論理的な整合性といったものが、世界を揺るがすほど重要な一連の交渉で排除できるかのごとく扱われている。トランプノミクスは小規模な好景気に火を付けるかもしれないが、米国と世界全体に危険な状況をもたらすことになる。