本コラムは「SHINOKEN WAYS」の提供記事です

 この改正は市街化調整区域である農地の所有者にも影響を与えました。農家では、後継者不足や収入減などの要因から継続が困難となる家も多くなっていました。そのため、自治体のこうした動きに同調し、所有している農地を宅地開発事業者に売却したり、賃貸物件を立てられるよう規制緩和を求める声が上がることが増えたりしました。

規制緩和が必ずしも良い方向に働くとは限らない

 しかし、規制緩和によって問題が起こるケースも報告されています。2015年5月11日にNHKの「クローズアップ現代」で『アパート建築が止まらない 〜人口減少社会でなぜ〜』と題して、埼玉県北部に位置する人口5万5千人の羽生市の事例が紹介されました。

 同市は2000年の都市計画法の改正を受けて、2003年に住宅の建築を促す施策を打ち出したのです。これは埼玉県内でも早い取り組みで、定住につながる戸建て住宅の建築を促すことを狙ったものでした。しかし、NHKの調査によれば、実際に建築されたのは150棟のアパート。その9割がサブリース(転貸)目的だったそうです。

 サブリースとは、賃貸住宅建設業者などが完成後の賃貸住宅を一括で借り上げ、賃料を保証する仕組みです。大家さんにとっては空室リスクを避けられ、安定した収入を見込めるとの思いから乗り出すケースも多いようです。

 羽生市の場合、定住を狙った戸建て住宅建築を期待した規制緩和であったのに、実際はサブリース目的の賃貸住宅がほとんどを占め、しかも供給過多になったがために空室率も上昇してしまったとのこと。

 実は、サブリースの契約では、一定期間の家賃金額は保証するものの、一定期間後は家賃水準に合わせて保証金額が変動するのが一般的です。供給過多になれば家賃水準も低下していくため、安定収入として見込んでいた家賃も減ってしまいます。

 サブリースの仕組み自体は本来いいものであるはずなのですが、業者によっては、それを乱用する形で大家さんに同じ家賃がずっと続くなどと思わせるようにしているケースもあり、それがトラブルになっているとも言えます。これはサブリースだけに限って言えることではなく、アパート経営を始めるなら立地選定からしっかりと行う業者を探す事が肝要となりそうです。

◎「SHINOKEN WAYS」の関連記事
満室が増えると空室率が増加?「空室率指数」の盲点
東京・年収1,000万円以上 高所得者があえて賃貸を選ぶ理由
「首都圏なら安心」は大きな誤解 意外に知らない大きなリスクとは