マクロン仏新大統領、14日に就任へ 現職のオランド氏が発表

フランス・パリで、第2次世界大戦の戦勝記念日を祝う式典で言葉を交わすフランソワ・オランド大統領(右から2番目)とエマニュエル・マクロン次期大統領(左、2017年5月8日撮影)〔AFPBB News

欧米に蔓延する「自国第一主義」症候群

 ドナルド・トランプ米大統領の「米国第一主義」に触発されたのだろうか。「自国第一主義」シンドローム(症候群)が西欧に蔓延し始めている。

 「内向き」傾向顕著な英国しかり、大統領選を終えたばかりのフランスでも「フランス第一主義」を掲げる極右のジャン・マリー・ルペン候補が敗れたとはいえ、主要政党候補を抑えて本選挙にまで進出した。

 1月にトランプ大統領と初の首脳会談を行ったテリーザ・メイ英首相は、英米の「特別な関係」(ウィンストン・チャーチル首相が1946年に最初に使った)の堅持を謳い上げる一方で、欧州連合(EU)離脱で「完全な独立した主権国家」を目指すと脱欧を改めて宣言した。

 欧米共に背景にあるのは実利優先主義だ。それだけ余裕がなくなっているのだ。

 「我が国を蝕み、テロを生む移民や難民の入国はお断り」

 「外国企業の不動産買いや外国製品の氾濫はまっぴら。自国の製品を最優先し、自国の労働者の仕事を守ることを最優先に」

 かって世界をリードした懐の深い英米の面影は薄まるばかりだ。戦後の民主主義、自由貿易体制を主導してきたアングロサクソン・パワーはどこへやら。問題はそうした大衆の心をつかんだレトリックが実際の外交の現場でいつまで通用するか、だ。

 もっとも英国も米国も皆が皆、「自国第一主義」がベストだと考えているわけではない。ひとたび新聞を広げれば、世界の動きがいかに自国の金融、経済、安全保障に大きな影響を及ぼしているのが分かる。

 「国際派を中心とするインテリ層にとって、このグローバル社会にあって、一国だけが『自国第一主義』を貫こうとしても無理なことは外交の基礎知識。米国の場合、世界の動きに米国がどれだけ影響力を与えられるか。それは権利であり、義務」(米主要シンクタンクの上級研究員)。

 ところが「反知性主義」「反エスタブリッシュメント」を掲げて勝利したトランプ熱からまだ米国民は冷めやらない。バイ・アメリカン(米国製品を買う)、ハイヤー・アメリカン(米国民雇用最優先)は愛国心の高揚に役立っているのだ。

 今ここで「米国第一主義」をこき下ろすのは流れに掉さすようなもの。言論界はじめ学界でも国際派が沈黙しているのはそうすることが賢明ではないと感じているからだ。