(英エコノミスト誌 2017年4月29日号)

要らない省庁はどれ? トランプ政権が米国民から意見募集

米首都ワシントンのホワイトハウス(2017年3月16日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

米国には誇らしく効果的な外交の伝統がある。それが今、貶められている。

 ほとんどの米国人は知らなかっただろうが、昨年の大みそかに米国の外交官たちは恐らく、中央アフリカで大量殺戮を未然に防いでいた。戦争を防いだ可能性もある。

 コンゴ民主共和国(旧ザイール)で長らく専制政治を続けているジョゼフ・カビラ氏は、大統領の任期が切れた後もその座にしがみついていた。これに腹を立てた人々が首都キンシャサの街頭に繰り出し、カビラ氏の治安部隊が出動しようとしていた。

 しかし、米国務省がアフリカ大湖地域特使として派遣していたトム・ペリエロ氏とジョン・ケリー国務長官(肩書はいずれも当時)が、価値観に基づいて行動する超大国の代表者らしい高潔な強引さと巧みな交渉術の合わせ技で説得にあたったことも手伝って、カビラ氏は折れた。カトリック教会の仲介により、権力の共有と今年中の退任が約束された。実現すれば、コンゴでは初めての平和的な政権移行になる。だが、実現の見込みは薄い。

 この3週間後、米国ではドナルド・トランプ氏が大統領に就任し、ケリー氏とペリエロ氏を含む100人あまりの政治任用職員が国務省を離れた。米国の政権交代では普通に見られる光景だ。

 しかし今回は、トップクラスの職業外交官も任を解かれた。これは普通ではない。しかも今のところ、新たに国務省にやって来たのはケリー氏の後任で、石油会社エクソンモービルの元経営者として名高いレックス・ティラーソン氏だけだ。

 ティラーソン氏は国務長官になろうという野心など持っておらず、そのポストに就くために面接を受けていることもトランプ氏に言われるまで知らなかった。米国の外交政策の代弁者になったティラーソン氏は、長官としての資質を備えていることは間違いないにもかかわらず、公の場であれこれ詮索されるのを嫌うという、石油会社の社員のスタイルを維持している。

 ティラーソン氏は記者会見を開いたり、外国訪問の際に現地の米国大使館を訪れたりすることはめったにない。トランプ氏が連邦議会に近々提案する国務省予算31%削減案の調整という、厄介な仕事のことで頭がいっぱいのようだ。