ソマリア沖タンカー乗っ取り、海賊が乗組員を解放

ソマリア・プントランドのボサソ沖で警備に当たる、同国の沿岸警備隊〔AFPBB News

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 日本は地震や洪水など大規模な災害に見舞われることが多く、これに対処するための国内的な準備や対処要領などについて自衛隊は多くの知見を積んできた。

 これらの経験を海外で同様の被害にあった国に対して生かそうと、医療活動を中心とする対外的な緊急援助活動を1979年から始めている。

 この活動に法的な根拠を与えるとともに人的な活動をさらに充実させるため、1987年には「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が施行された。

 この法律に基づき、医療チーム、救助チーム、専門家チーム、自衛隊部隊および2014年に追加設立された感染症対策チーム、以上の5つのチームを編成して海外における自然災害および紛争に起因しない人為的災害に対して、緊急的な援助活動を実施する体制を整備している。

 なお、1992年(平成4年)に「国際連合平和協力法」が制定されたことに伴い、紛争に起因する災害は「国際連合平和協力法」に依っている。

 自衛隊は「国際緊急援助隊法」に基づき、被災国からの要請内容および被災地域の状況により「医療活動」「輸送活動」「給水活動」を行うこととされており、防衛大臣の命令発令後48時間以内に第1波が出発し、第2波は5日以内に出発することとされている。

 人員、装備、資材、輸送手段及び派遣期間などは被害状況等により要請国との間で決められた支援内容により決められる。

 この法律に基づき、自衛隊は平素から国際緊急援助活動ができる待機の態勢を取っており、自衛隊は同上法制定以降平成27年までの23年間に18件の国際緊急援助活動を実施している。以下、自衛隊が実施した国際緊急活動の件名と年度を紹介する。

 平成10年のホンジュラスのハリケーン災害に対して医療部隊80人による医療支援活動、およびこのための人員や物資空輸のための空輸部隊105人による支援をおよそ4週間にわたり実施した。

 これを皮切りに、トルコ地震災害(平成11年)、インド地震災害(平成13年)、イラン地震災害(平成15~16年)、タイ地震・津波災害(平成16~17年)、インドネシア地震・津波災害およびパキスタン地震災害(平成17年)に対して医療支援および救援物資空輸を実施した。

 その後も2度にわたるインドネシア地震災害(平成18年、21年)およびハイチ地震災害(平成22年)、これらに対して医療支援及びこのための医療チームや人員および物資空輸などを実施した。

 その後も、パキスタンの洪水・水害に対する復旧支援(平成22年)、ニュージーランド地震災害に対する復旧支援(平成23年)、フィリピン台風被害に対する医療活動および救援物資などの空輸(平成25年)、マレーシア航空機事故に対する捜索・救助活動(平成26年)、エボラ出血熱対応に係る個人防護具の空輸(平成26年)、インドネシア航空機事故に対する捜索・救助(平成26年?27年)、ネパール地震災害に対する医療支援活動(平成27年)などを実施してきた。