(英エコノミスト誌 2017年4月22日号)

国連安保理、北朝鮮に新たな制裁警告 ロシアも声明支持

韓国ソウルの鉄道駅で、北朝鮮の故・金日成主席の生誕105年を記念したパレードの映像を眺める人(2017年4月15日撮影)。(c)AFP/JUNG Yeon-Je〔AFPBB News

ドナルド・トランプ米大統領が最も厄介な仕事に取り組む。

 北朝鮮は憂慮すべき国であり、それと同じくらい分かりにくい国と言ってもよい。ここではマルクス主義独裁政権が世襲されており、世界で最も若い最高指導者に加えて最も高齢な最高指導者も君臨している。現在の専制君主は30代の金正恩(キム・ジョンウン)氏だが、その祖父の金日成(キム・イルソン)氏は1994年に死去したにもかかわらず「永遠の国家主席」の座にあるからだ。

 故金日成首席の生誕105年記念日にあたる4月15日には、孫の金正恩氏がこれを祝おうと、戦闘機に「105」という数字を描く編隊飛行を命じた。大規模な軍事パレードも開催させ、トラックにミサイルを積んで披露したり、膝を曲げずに足を高く上げて歩く「グースステップ」での行進を兵士に命じたりした。

 また、金正恩体制が核兵器の雨を降らせてやると敵国を脅し、米国本土に到達するミサイルの製造に取り組んでいるそのなかで、男声合唱団は「平和は我らの武器が保証する」と題した歌を歌った。

 好戦的で神格化もされているこの若い君主への対応は、米国のドナルド・トランプ大統領にとって最も厄介な仕事の1つになるだろう。また、アジアにおけるパックス・アメリカーナ(米国の力による平和)に新興超大国の中国が挑むなかで変化している対中関係にどう対処するのかが初めて試される大舞台にもなる。

 良い選択肢は存在しない。しかし、最も悪くない選択肢に到達するには、金正恩体制と、北朝鮮がピースの1つになっているアジアの地政学的ジグソーパズルの両方を理解する必要がある。さらに、辛抱強さも欠かせない。だが、トランプ氏は北朝鮮問題について辛抱強さなどほとんど持ち合わせていないと公言しており、マイク・ペンス副大統領も「テーブルの上にはすべての選択肢が乗っている」と述べている。

 さっさとやってしまいたい――。心情的にはそう思いたくもなるだろう。北朝鮮は邪悪で血塗られた独裁国家だ。国家に背くそぶりを少し見せただけで、強制収容所に送られたり死刑になったりしかねない。金正恩氏は、親が反体制思想の持ち主だという理由で子供を投獄したり、自分の親類縁者を思いつくままに殺害したりしている。そんな人物がロサンゼルスを狙っているというのだからぞっとする。