最後に貧困と汚職の関係を考えてみたい。

 ロシアの世論調査機関レバダセンターが行った調査「あなたやあなたの周りの人が賄賂を払ったケースは何ですか?」が参考になる。

貧困と汚職は表裏一体

 トップは「就職の便宜」(29%)、わずかの差で「病院サービス」(26%)、「役所の許認可」(19%)と続く。

 驚くことに「運転免許」(14%)、おなじみ「交通違反」(14%)、「学校入学の便宜」(12%)、「住宅割当て」(10%)、そして「葬儀手配」(10%)となっている。最後はまさに地獄の沙汰もカネ次第ということだろうか。

 この結果を見ると、貧困と汚職が表裏一体の関係にあることを改めて認識させられる。つまり、正規の給与では生活できない医師や公務員は国民から賄賂をもらうことで生活を維持している。

 他方、一般の国民にとって貧困から抜け出すためには良い学校に入学する、良い職場に就職することが近道だが、貧困層には賄賂を払う余裕はなく、結果的に経済格差がさらに拡大する。

 改めて冒頭の「反汚職デモ」に戻ろう。

 ロシアでも若年層の失業問題は深刻である。懸命に勉強して専門知識を身につけても、既述の通り豊かな生活を送れる保証はない。ロシアの若者たちの怒りは汚職に対する道徳問題ではなく、経済問題であることを理解する必要がある。

 プーチン政権は汚職対策を強化するだけでは問題解決につながらないこと、何よりもロシアの若者が豊かな未来を描ける社会構造改革の必要性を強く認識する必要があろう。