筋肉を溶かすときにまず壊されるのが「ミトコンドリア」です。ミトコンドリアとは細胞内の非常に小さな器官ですが、エネルギー工場の役割を果たしています。

 私たちが摂取した糖質や脂質などの栄養素は「ATP」(アデノシン三リン酸)という物質に変換され、体内でエネルギーとして利用されます。この「代謝」が行われる場となるのがミトコンドリアです。一定期間働いたミトコンドリアは劣化します。ミトコンドリアが劣化すると効率よく代謝を行うことができず、酸化物質が産生されてしまい体に悪影響を及ぼし、疲労回復が遅れてしまいます。代謝を活発に行うためには、ミトコンドリアが元気な状態であることが必要です。

ミトコンドリアは体内エネルギーの生産工場(『あなたの健康寿命はもっとのばせる!』より、以下同)

 空腹になると劣化したミトコンドリアが壊され、アミノ酸に代えられます。その後食事を摂ることで、新しいピカピカのミトコンドリアがつくられます。ミトコンドリアが活性化して新しいものに換わっている人のほうが若々しくいられるのです。

──ミトコンドリアをいい状態で活性化させれば、健康寿命(健康な状態で日常生活を送ることができる期間)の延長につながるのですか。

渡辺 そのとおりです。「実年齢よりも若く見える」「いつも元気で疲れにくい」ような人は、ミトコンドリアが活発に働いているとみられています。

──運動もミトコンドリアの活性化につながりますか。

渡辺 老化を遅らせ、からだを若返らせるために運動は欠かせません。運動をして、体にもっとエネルギーが必要だというメッセージを送れば、ミトコンドリアがそれに応えてくれます。実際に、1日2時間の運動を1週間続けるだけで、ミトコンドリアの量が30%近く増えたという実験結果があります。