いつものカフェに上司がいたら仕事ははかどるか?

「カフェでの作業ははかどるか」の心理学(後篇)

2017.04.21(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
請園正敏(うけぞの・まさとし)氏。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神薬理研究部流動研究員。博士(心理学)。高校卒業後、米国の大学に留学。中退後、企業に就職しSE関連の仕事に従事。その後、明治学院大学へ。卒業後、大学院修士課程、博士課程へと進む。大学院生当時、NTTコミュニケーション科学基礎研究所にて実習生として科学技術振興機構の研究に従事。2016年、博士論文「社会的促進及び抑制の発生機序の解明と理論構築―Zajonc動因説を越えて―」で、博士号を取得。同年、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神薬理研究部に所属、現職に。

請園正敏氏(以下、敬称略) 1つ大切になるのは、カフェで仕事をしようとするとき、「仕事の課題に注意を向けられるか」です。社会的促進は身の回りに他の人がいるときに生じる現象ですが、「何に注意を向けているかによって、促進の対象が変わってくる」と考えられているのです。

 たとえば、カフェに入っても、仕事という課題に注意が向かず、隣席の客たちの雑談に注意が向いてしまったとします。すると、その会話の内容に知ろうとすることに、社会的促進がかかってしまいます。

 あるいは、コーヒーがとても美味しくて、そのコーヒーに注意が向いてしまえば、コーヒーを飲む速度や量に社会的促進がかかってしまいます。

 このように、仕事以外のものごとを無視できないときは、他のものごとに促進がかかるので、仕事への社会的促進が生じなくなってしまうことも起きえます。「注意が向いたものに社会的促進がかかる」と考えてください。

――となると、仕事への注意を削ぐような要素はなるべく避けてカフェを利用すべきとなるでしょうか? たとえば、新商品の飲みものや、大好物のケーキなどを注文するより、いつも頼んでいるものを注文するとか・・・。

請園 そうだと思います。“好きでも嫌いでもないような飲みものや食べもの”を選ぶのがよいと思います。

 それに、食べながら仕事をするよりも、先に食べてしまってから仕事をするほうが、仕事の課題により注意が向けられることでしょう。

カフェの“はしご”にも効果あり

――社会的促進によって仕事がはかどるという状況は、カフェにいる間ずっと続くものでしょうか?

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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