(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年4月13日付)

米大統領、アサド政権は「多くの線越えた」 攻撃死者86人に

米ホワイトハウスでヨルダンのアブドラ・イブン・フセイン国王(写真外)との共同記者会見に臨むドナルド・トランプ大統領(2017年4月5日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

 シリアの「かわいらしい赤ちゃん」が毒ガスにさらされるのを止めるために行動する――。ドナルド・トランプ米大統領がそう誓うのを聞いて、筆者はマイケル・コルレオーネのことを考えた。映画「ゴッドファーザー・パート3」の有名なセリフ「足を洗ったと思ったとたんに、引き戻されてしまう」と同じようなことを、大統領は思っていたに違いない。

 案の定、トランプ氏がシリア内戦への介入に反対していた以前の発言を専門家たちがいくつも列挙し、「米国第一」主義はどうなったのかと指摘するなかで、米国はシリアの空軍基地にミサイルの雨を降らせた。

 トランプ大統領は、前任のバラク・オバマ氏がかつて無視した、化学兵器を使ったらただではおかないという「レッドライン(越えてはならない一線)」を復活させた。これを受け、トランプ氏の応援団は激しく反発し、悪口を言い続けてきた人々は当惑まじりの支持を表明した。

 中東では、今回のミサイル攻撃に対してさまざまな反応が出ているが、とりわけ目立つのは、いくつかの場所で漏れている安堵のため息だ。米国がこの問題に再び関与してくれるようになった、と多くの人が思ったのだ。

 米国の大統領は、最初の段階でいくら抵抗しても、結局は中東の紛争の泥沼に引きずり込まれる。これはどうやら、避けられない運命のようだ。和平仲介の偉大さの夢に惹かれる場合もあれば、同盟国を救援したり米国のリーダーシップを敵に思い出させたりする観点からやむを得ず足を踏み入れる場合もある。