(英エコノミスト誌 2017年4月1日号)

安倍首相、独CeBIT出席 「開かれた体制守る」

独ハノーバーで開催の情報通信技術見本市「セビット」のオープニングイベントに出席した安倍晋三首相とドイツのアンゲラ・メルケル首相(右、2017年3月19日撮影)。(c)AFP/Odd ANDERSEN〔AFPBB News

世界が貿易に腹を立てる中、EUは好意的になりつつある。最優先課題は、日本との貿易協定締結だ。

 ほんの数カ月でこれほど変わるものだろうか。

 つい半年ほど前、欧州連合(EU)の貿易政策はひどく混乱していた。派手に宣伝された米国との環大西洋貿易投資協定(TTIP)はまさに風前のともしびで、非政府組織(NGO)や消費者団体からは酷評され、当初は締結を求めていた政治家の一部からも見放されてしまっていた。

 カナダとの魅力的な包括的経済貿易協定(CETA)は、ベルギーの地方議会に反対され、危うく頓挫するところだった。国の補助金を受けた中国製鉄鋼製品への対処法をめぐっては、加盟国間で意見が対立していた。EU内の貿易推進派で最も発言力のある英国は、国民投票でEU離脱を選択した。3月末には、EU基本条約50条に基づく離脱通知の書簡により、その決断が現実のものになった。

 それがどうだろう。欧州のある外交官は、「今後数カ月間は貿易がヒュージだぞ(すごいぞ)」と語っている。変化が生じた理由は、「ヒュージ」という言葉の選択からもうかがえる。そう、ドナルド・J・トランプ氏である。

 トランプ氏が大統領に就任して最初に行った仕事の1つが、太平洋沿岸の12カ国をカバーする環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱だった。また、トランプ氏はドイツの貿易黒字に不満を露わにし、世界貿易機関(WTO)の決定も無視する構えをほのめかしている。

 自由世界のリーダーが跳ね橋をつり上げて門を閉じようとする中で、WTO加盟国を代表して貿易協定の交渉を行うEUは、1つのチャンスを見いだした。

 さらに良いことに、内向きな姿勢を示したトランプ氏の米国に足蹴にされたほかの貿易相手国は、新たな仲間を探すようになっている。その中にあって、欧州のパートナーの最有力候補に浮上しているのは世界第3位の経済大国、日本だ。