(英エコノミスト誌 2017年4月1日号)

メイ英首相、EU離脱通告の書簡に署名 29日に手続き開始へ

英首相官邸で、欧州連合(EU)からの離脱を通告する書簡に署名するテリーザ・メイ首相(2017年3月28日撮影)。(c)AFP/CHRISTOPHER FURLONG〔AFPBB News

行く手のトレードオフを率直に認める時が来た。

 英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた後の騒然とした9カ月間を経て、ついにブレグジットの本当の手続きが始まった。テリーザ・メイ首相の書簡が3月29日に欧州理事会に手渡されたことで、EU基本条約(リスボン条約)50条が発動され、英国がEUから撤退することはほぼ避けられなくなった。

 英国民の半分にとっては祝うべき瞬間となった。本誌エコノミストを含む残りの半分にとっては、何ともわびしい日となった。離脱派と親EU派双方の将来、そしてEU自体の将来がどうなるかは、メイ氏の次の一手にかかっている。

 難しい交渉になることは確実だ。まず、利用できる時間が短い。EU基本条約50条は交渉期限を2年後に設定しているからだ。加盟国としての英国とEUとの関係を解きほぐしていく作業は、ぞっとするぐらい複雑だ。双方とも準備がしっかりできているわけではない。

 ブレグジットが一種の信仰に基づいた計画の様相を強めている英国では、有権者は、行く手に待ち受けるユートピアについて恐ろしく非現実的な見通しを聞かされている。恐らく、英国にとって最大の市場への特恵的アクセスが失われるという現実に初めて接することは、心理的な痛手になるだろう。

 英国が譲歩しなければならないことをメイ氏が国内の離脱派に説いて納得させることができなければ、この国は何の協定も結べないままEUから飛び出す羽目になるかもしれない。