(英エコノミスト誌 2017年3月22日号)

アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)最高経営責任者(CEO、2010年10月27日撮影)。 Photo by Steve Jurvetson, under CC BY 2.0.

アマゾンは投資家の期待に応える力を秘めている。だが、成功すれば大きな問題に直面する。

 アマゾン・ドット・コムは驚異的な企業だ。書籍の販売からスタートした同社は今、米国のオンラインショッピングで新たに計上される売上高の半分以上を占めるほどになっている。クラウドコンピューティングの世界最大手であるうえに、テレビ事業に今年投じる資金の額は恐らく、ケーブルテレビ会社HBOのそれの2倍に達することになるだろう。

 自社ブランド商品も販売しており、乾電池からアーモンド、スーツ、スピーカーに至る多様な品々を扱っている。特にスピーカーは、ユーザーの声に反応して動作する仮想アシスタントが付いており、部屋の照明や庭のスプリンクラーを声でコントロールできる優れものだ。

 しかし、アマゾンの株主たちは、まだ序の口だという前提で行動している。同社の株価は2015年の年初から今日にかけて173%も上昇している。これはそれ以前の2年間の上昇率の7倍、同じ2015年年初からのS&P500種株価指数の上昇率の12倍に相当する高率だ。株式時価総額は4000億ドルあまりで、世界で5番目に価値の高い企業になっている。

 これほどの高い評価を、これほど利益を上げていない企業がこれほど長い間受けたことはかつてない。実際、時価総額の92%は2020年以降に計上される見込みの利益によるものだ。

 これは投資家たちが売上高の極端な増加――2016年の1360億ドルから今後10年間で5000億ドルに――と利益の急増の両方を予想しているからだ。この予想通りになれば、アマゾンは恐らく、米国で最も多額の利益を計上する企業になるだろう。

 しかし、疑念を抱く理由がこれ以上に豊富なケースはそう多くない。アマゾンが現在の市場時価総額を正当化するには、現代史に登場したほとんどすべての大企業を上回るスピードで成長しなければならないからだ。そんなことが果たして可能なのだろうか。