女性のキャリアはどう築いていけばよいのだろう。

 IT業界は女子が増えてきたとはいえ、いまだ男社会。女性のキャリアデザインや家庭と研究との両立についてなど、幅広い意見交換が行える場として、女子学生・女性エンジニア・女性研究者のための「ランチ会」を企画、年1回開催してきた。5回目を迎える今年は、2017年3月3日、情報処理学会インタラクションのお昼休みを利用して、開催した。奇しくもひな祭りの日。

 ゲストは、国立情報学研究所の竹房あつ子氏と、Yahoo! JAPANの今子さゆり氏。お二人からそれぞれのキャリアをもとに、女性のキャリアデザインやワークライフバランスを考える上でのカギを話してもらった。

「こうなりたい」という存在が大事

 竹房氏は、お茶の水女子大学院博士課程を2年間で早期修了し、ポスドクや大学の助手や、研究員や教員、公的研究機関の研究員などを経験してきた。一方で、2人のお子さんをお持ちのお母さんでもある。すでに中学生と小学校中学年。今でいう、産休・育休明けの「仕事復帰の壁」も「小1の壁」も「小4の壁」もクリアしてきたお母さんである。

 1人目の子どものときは産休・育休を約8カ月で復帰し、2人目のときは約6カ月取得して復帰。一般的な産休・育休と比べるとどちらも短いように思えるが、昨今の研究員の中には「プロジェクトの研究員のため育休が取れない!」という声も聞くので、研究職の中では恵まれているほうなのかもしれない。お茶大での助手の期間はご主人の勤務先の都合上、新幹線通勤を行っていたというバイタリティあふれる経験も。

竹房あつ子氏。同じ研究職であっても、大学や研究機関などによって違いがあることなど話していた。