(英エコノミスト誌 2017年3月18日号)

世界の国外旅行者、7年連続増 アジアがけん引

旅行者のシルエット。米首都ワシントンにあるレーガン・ナショナル空港で(2016年12月22日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

ここ10年間の経済は「偽りの夜明け」ばかりだった。今回こそ、本当に違うように感じられる。

 経済と政治のサイクルには連動しない習性がある。例えば、ジョージ・ブッシュ元大統領(父親の方)に聞いてみればいい。同氏が1992年の米大統領選挙で敗れたのは、足元の景気後退を招いたと有権者に批判されたからだった。また、ドイツのゲアハルト・シュレーダー氏が2005年の選挙で首相の座を追われたのは、痛みを伴う改革を実行したためだった。改革の果実は、後任のアンゲラ・メルケル首相が収穫した。

 1930年代の大恐慌以来となった深刻な金融危機から10年近く経過した今、多くの国や地域の経済がようやく上向いている。米国、欧州、アジア、そして新興国市場で、景気という名の気球が、すべてのバーナーに火がついた状態で浮上しようとしている。2010年に見られた短期間の回復以来のことだ。

 しかし、政界のムードはさえない。数年に及ぶ経済の低迷のせいで大きくなったポピュリスト(大衆迎合主義)の反乱は、まだ広がりを見せている。グローバル化は人気がなくなり、米国大統領のイスには経済ナショナリストが座っている。3月15日に行われたオランダの総選挙は、反イスラムのイデオローグであるヘルト・ウィルダース氏を中心に耳目を集めたが、欧州には同氏のように不満を抱えた扇動家がほかにも大勢いる。

 この経済と政治のサイクルの不一致は危険だ。景気がさらに良くなり、それがポピュリストの政治家の功績だということになってしまったら、彼らの政策が信用され、壊滅的な影響をもたらす危険性が出てくるからだ。だからこそ、待望久しい上昇気流が生まれて、多くの人々の景況感が改善するときには、その背景に何があるのかをしっかり見定めなければならない。