グローバル化と都市部への人口集中

 経済のグローバル化や都市部への人口集中も、コミュニティの必要性を高めていくでしょう。交通手段や通信手段の発達により移動のコストが下がり、若者は田舎を出て都市部へ、さらには海外に仕事を求めて自由に移動するようになっています。

 過疎化する地方のコミュニティは担い手が減って疲弊しますし、家族や地元から離れた人の方は孤独になるわけです。そうすると、孤独な人たちがつながるための、新しいコミュニティが重要になると。生まれ育った田舎で仕事をしていれば、新たなコミュニティは必要ありませんが、人が動けばコミュニティは分断され、新しいつながりが必要となるわけです。

インターネットとSNS

 近年におけるコミュニティに関する最大の変化は、言うまでもなく、インターネット・クラウドによって情報のコストが限りなくゼロに近づいたことでしょう。かつてはリアルで付き合うことができる人数には限界がありましたが、新しいテクノロジーの利用によって数千人・数万人とつながることも、理論上は可能になりました。

 そのことは、電子メールと手紙における手間や同時に拡散できる人数の違いを考えても理解できると思いますが、特にFacebookやLINEなどのSNSによって引き起こされた人間関係の「革命」は、恐らく我々のイメージをはるかに超えるものです。世界が変わった、と言っても過言ではないと私は考えています。

 ユルく広く、距離も気にせず、多くの人とつながることが可能になった一方で、「SNS疲れ」に象徴されるように、それらの「友達」との距離感に悩む人も増えました。ネット上には既に多数の「コミュニティ」が存在しており、心地良い距離感を持ちながらそれらと付き合うスキルを、若い世代は身に付けつつあるように思います。