(英エコノミスト誌 2017年3月18日号)

米軍のTHAAD配備に中国反発、安全保障上の利益「断固」守る

韓国・ソウル近郊の平沢にある烏山空軍基地に到着した、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の装備。在韓米軍提供(2017年3月6日撮影)。(c)AFP/US FORCES KOREA (USFK)〔AFPBB News

中国当局が韓国に怒りをぶつけよと国民をたきつけている。ただし、やり過ぎには用心している。

 3月半ば、北京の望京地区にあるスーパー、「ロッテマート」の店内は妙に静かだった。ショッピングカートを押す年配の買い物客がほんの数人いるだけで、店員は棚にある商品を並べ直してばかりいる。レジ担当の店員によれば、数週間前に「何かがあった」せいで客の少ない日が続いているという。その「何か」とは、韓国のロッテグループが2月28日、韓国にある社有地に米国のミサイル迎撃システムの配備を認める契約を交わしたことだ。

 中国政府はこれに反応し、国民に怒りを表に出すよう促している。それも中国の店舗が不買運動に見舞われているロッテグループのみならず、韓国のものほぼすべてを標的にするよう仕向けている。

 中国政府がナショナリズムを外交の武器として利用することは珍しくない。前回は2012年、習近平氏が権力を握る少し前に、日本が東シナ海で支配している島々の国有化に踏み切ったことを受け、その島々の領有権を主張している中国政府当局が抗議運動を行うよう国民に呼びかけた。

 通常であれば、中国が韓国をこのような攻撃の標的にすることはない。しかし中国は今回、「THAAD」という略称で知られる地上配備型ミサイル迎撃システムの配備を韓国が決めたことに激怒している(システムの一部は3月6日に韓国に到着した)。

 米国は、THAADは朝鮮半島を北朝鮮から守るのに役立つと話している。だが中国は、米国はシステムの強力なレーダーを使って中国のミサイルを「こそこそかぎ回り」、その抑止力を低下させるつもりだと反発している。

 中国の国営メディアはここ数週間、韓国の「誤った決断」を毎日批判している。北京を本拠地とする対外強硬主義の新聞「環球時報」は中国の消費者に対し、「韓国を戒める」よう奨励している。「痛めつけてやる」べきだとも書いていた。