確かに、オバマケアには深刻な問題点がいくつかある。オバマ氏はオバマケアの法案に、不法行為法改革を盛り込んでおくべきだった。そうすれば、医師が負う賠償責任に上限を設けることができただろう。

 また、保険加入を拒む人へのペナルティーをもっと厳しく設定するべきだった。そうすれば比較的健康な人が加入することでリスクプールが拡大し、保険料も低くできるからだ。さらに、州の境を超えて保険を購入できるように全米をカバーする取引所を創設しておくべきだった。

 しかし、現在の制度を改善することは、トランプ氏の法案が目指すところではない。自分たちは道ばたに取り残されつつあるのだとトランプ氏の支持者たちが理解すれば、世論調査の数字は悪化することになるだろう。すでに、大統領の支持率は40%を下回っている。

 オバマ氏は、大統領就任後の18カ月間のほとんどを医療保険制度改革に費やした。これについては、政治資本を無駄遣いしているとの見方が少なくなかった。だが、この法律のおかげで2000万人が医療保険に加入することができ、米国は国民皆保険に一歩近づくことになった。米国の医療費インフレの進行ペースも鈍った。

 その反動で、最初の中間選挙では民主党が連邦議会の主導権を失うことになった。皮肉なのは、トランプ氏がオバマケアを廃止すると、来年の中間選挙で共和党が議会の主導権を失う可能性が出てくるということだ。

 トランプ氏は今、2つある災難の片方に直面している。比較的悪くないのは、共和党が法案を否決するという災難の方だ。共和党にとっては、こちらの方が自分たちの利益にかなうだろう。トランプケアでは、米国を再び偉大にするどころか、米国の最悪の特徴がさらに悪化することになる。

By Edward Luce
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