本コラムはHONZの提供記事です

 現在、この最も危険で極秘の武器は主に闇で売買されており、一つ当たり億円単位の高値がつくこともある。各国サイバー機関はこのゼロデイを秘密裏に購入しているそうだが、なかでもアメリカの買い漁り具合は凄いという。世界最強のサイバー国として君臨すべく、いつでも秘密裏にサイバー攻撃が開始できるよう様々な用途・形態に使えるゼロデイ脆弱性を集め、隠し持っているのだ。

いつサイバー攻撃を受けてもおかしくない日本のインフラ

 後半の第10章から第12章では、アメリカ以外のサイバー先進国の政策やその実態を取りあげる。ロシアによるアメリカ大統領選への介入、中国が産業スパイから軍事的工作に力をシフトしている実態、独自路線で暗躍するイランや北朝鮮のサイバー戦略など、サイバー空間がこれまで以上に混沌としている様子が伺える。とくだんロシアとアメリカの攻防は手に汗握る展開だ。冒頭のアメリカ大統領選前後の攻防はまさに戦争に発展してもおかしくない緊張感ある攻防である。

 最後のエピローグでは、そんな混沌としたサイバー空間の中で日本はどう立ち振る舞うべきかを著者が指南する。

 本書によると、アメリカ軍は、日本のインフラが中国のサイバー攻撃によって壊滅的被害を受けるケースを想定し、軍のシミュレーションを組んでいるそうだ。昨今のサイバー攻撃は日本にとっても対岸の火事ではいられない。日本の発電所、ダム、石油精製工場などのインフラはいつサイバー攻撃を受けてもおかしくない状況なのだ。独自に守れる体制を敷く必要はないのだろうかというのが著者の問題提起である。