撤収準備は宿営地のみならず、撤収のための全経路において行うことになる。その際の最重要事項は安全の確保であり、予想される危険に対して万全の対策を講じる必要がある。

 現地の治安状況が悪化すると、撤収間の安全確保が難しくなるので、情勢が小康を保っている今が最適なのだ。

我が国を取り巻く安全保障環境

 撤収に際しては、日本を取り巻く厳しい安全保障環境を考慮すべきで、この考慮要素は自衛隊の活用について国内任務で使うのか、国外任務で使うのかという問題でもある。

 一部の野党やマスメディアの議論で抜けているのは、日本を巡る厳しい安全保障環境だ。日本は今、内憂外患が絶えない厳しい環境にある。

 内憂については、日本は1000年に1度の地殻変動の大激動期にあり、今後、首都直下地震や南海トラフ大震災はほぼ確実に発生する。これらの大震災が引き起こす未曾有の危機に備えなければならない。

 私が思い出すのが2011年だ。この年の3月11日に東日本大震災が発生したが、陸上自衛隊はハイチのPKOに派遣されていた。当時ハイチで活動する隊員は、日本に帰って災害派遣に参加したいと熱望していたが、その願いは叶わなかった。

 海外での任務を優先するか国内での任務を優先するかの問題だ。

 私は国内での任務を優先すべきだと素直に思う。特にハイチのPKOも南スーダンのPKOもその主体は施設部隊である。この施設部隊は災害派遣では大活躍する虎の子の部隊だ。その施設部隊が早期に日本に帰ってくれるのはありがたい。

 外患については、中国、北朝鮮、ロシアの存在だ。直近の危機である北朝鮮の核ミサイルの開発や我が国に向けたミサイルの実射は、非常に危険な段階に入っている。

 つまり、3月6日に北朝鮮が発射した「4発のミサイルの目標は在日米軍基地である」と北朝鮮自身が発表したように、日本が狙われているのだ。

 また中国は、尖閣諸島周辺の日本の領海をしばしば侵犯し、世界第2位の経済大国となり、世界第2位の国防費で急速に軍事力を増強している中国は脅威であるし、北方四島を占領するロシアにも警戒が必要だ。

 内憂外患の絶えない厳しい時代において、規模の小さな自衛隊の一部を海外任務で使うのが適切か否かの検討が必要だ。

日本が危機の時にPKO撤収を政局にすべきではない

 日本が内憂外患の絶えない時期にPKO問題を政局にすべきではない。ましてや北朝鮮が日本を狙ってミサイルを発射している状況において、完全に国内の些末な問題である「森友学園問題」を巡り低レベルな議論を繰り返す日本の国会は異常である。

 特に民進党は、その前身である民主党が南スーダンPKOへの自衛隊の派遣を決断し、派遣を命じたことを忘れてはいけない。撤収までの責任は、政府与党のみにあるのではなく、民進党にもある。