OPECに勝利したシェールオイル、死角はないのか?

米国の原油需要が左右する原油価格の先行き

2017.03.17(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49441
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 シェール企業は生き残りをかけてパーミアンの開発・生産を拡大している。米石油メジャーも、その動きを黙って見過ごすわけにはいかなくなっているようだ。

 今年1月、米石油メジャー最大手のエクソンモービルがパーミアンで掘削用地を66億ドルで買収し、ライバル企業であるシェブロンもパーミアン地区での生産に重点投資を行う意向を表明した。メジャーが競ってシェールオイルに投資するのは、原油価格の先行きが不透明な状況下で短期で投資回収できる利点があるからである。

 最近では「パーミアンはサウジアラビアのガワール油田(日量550万バレル)を超える世界最大の油田地域となる」との指摘も出始め、パーミアン地域の資産価値はうなぎ登りに上昇している。2012年時点での鉱区の価値はエーカー当たり約5000ドルだったが、昨年の取引最高額はエーカー当たり5万8000ドルに達した。58000ドルで購入しても原油価格が1バレル=30ドル前後でも利益が出るという。金融業界の今年のシェール企業への融資額は「パーミアン効果」で史上最高になる見込みである(昨年の約3倍に当たる66.5億ドル)。

 だが、勢いづくシェール企業に死角はないだろうか。

「パーミアンの資産価値はバブルやポンジ・スキーム(ネズミ講)のような水増し価格に近づいている」との指摘がある(ダラス連邦準備銀行)。また、シェール企業の活動が急回復したことで、これまで低位で推移してきた生産関連コストが足元で急速に上昇し始めていることも見逃せない。

1バレル=30ドルを割る可能性も

 OPECとの会談に出席したシェールオイル企業(パイオニア・ナチュラル・リソーシズ)CEOは、自らの増産姿勢を棚に上げて、「OPECが減産合意を延長しなければ原油価格は1バレル=40ドルに値下がりする」との懸念を示した(3月8日付ブルームバーグ)。ただしヘッジ取引を利用しているため、原油価格が40ドルに下落しても大きな打撃を受ける心配はないようだ(3月15日付ブルームバーグ)。

 原油価格はこのまま1バレル=40ドルまで下落するのだろうか。

 おそらく、米国の原油需要次第であろう。世界の原油需要の1割を占める米国のガソリン需要の伸びが鈍化すれば、原油価格にさらなる下押し圧力になるからだ。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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