OPECに勝利したシェールオイル、死角はないのか?

米国の原油需要が左右する原油価格の先行き

2017.03.17(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49441
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 この点について、フィナンシャルタイムズ(3月7日付)の記事が参考になるだろう。

 その記事とは、「2016年11月30日のOPEC総会前日にサウジアラビア政府が大手ヘッジファンド関係者と接触し、減産合意の内容を事前にリークしていた」というものだ。これが事実だとすれば、サウジアラビアはヘッジファンド関係者と結託して原油価格上昇を実現したと言っても過言ではない。

 このところヘッジファンドによる米WTI原油先物市場の買越ラッシュが続いてきた。だが今回の会合でヘッジファンド関係者が「OPECは次の手を繰り出すことができない」と判断して逆に「失望売り」に回ったのではないだろうか。だとすれば、原油価格は昨年のOPEC総会以前の水準(1バレル=約42ドル)にまで下落してもおかしくない。

勢いづくシェール企業

 OPECの価格上昇シナリオにとって大きな障害となったシェール企業の増産攻勢はとどまるところを知らないようだ。

 3月10日時点の米石油掘削装置稼働数は前週比8基増の617基となり、4月のシェールオイルの生産量は17カ月ぶりに前年比プラスになる見込みである。米国の原油生産量(日量約900万バレル)の50%以上がシェールオイルとなり、「米シェールの成長の第2波が始まった」との指摘もある。

 米国における主要なシェールオイルの産地はバッケン(ノースダコダ州)やイーグルフォード(テキサス州)だったが、このところパーミアン地域が活況を呈している(原油生産量は日量約220万バレル)。テキサス州からニューメキシコ州に跨がるパーミアン鉱区は、他のシェールオイル鉱区の生産量が回復しない中、唯一増産を続けており、新たに稼働を開始する石油掘削装置も当該地区に集中している。

 パーミアンへの投資が集中しているのは、恵まれた地質構造にある。原油が存在する層がミルフィーユ状に幾重にも重なっていることから、他のシェール層に比べて同じ投下資本でより多くの原油が確保できるのだ。加えて技術革新も進み、新規坑井1本当たりの生産量は2011年末から現在までに6倍となり、生産コストは1バレル=30ドル以下になっているとも言われる。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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