2016年7月、「イスラム国」が支配するモスルから避難してきた人たち

時間が6年前のあの時に戻ったなら

 3月15日で7年目を迎えるシリア内戦、先月から今月の初めまで政権側と反体制派を招き、スイスのジュネーブで和平会議が行われていた。

 しかし、時事通信の配信記事には、「シリア和平協議、成果なく中断」という見出しがつけられ希望は遠のくばかりである。

 「もし、時間があの時に戻れるのなら、革命なんてなかった方が良かったわ」

 10代後半でシリアを去り、難民としてイラクで暮らすリーム・アッバース(23歳)は言う。

 「この6年間で、40万人を超える人たちが殺されたのよ」

 難民の数は、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)によると、500万人に近い。21世紀最大の人道危機と呼ばれるゆえんである。

 リームは鎌田實が代表を務めるJIM-NETというNGOのイラク事務所で現地スタッフとして働いている。

 イラクの小児がんの子供たちの支援が中心だが、「イスラム国」から逃げて来るシリア難民や、モスルからの国内避難民の支援も行っているから、悲惨なのはシリアだけではないことをよく知っていた。そんなリームが6年間を振り返った。