安倍首相夫妻、トランプ大統領のリゾート施設に招かれ食事会

米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ大統領のリゾート施設「マーアーラゴ・クラブ」で食事を共にする安倍晋三首相(中央左)、トランプ大統領(中央右)、昭恵夫人(右)、メラニア夫人(左)、ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏(左下、2017年2月10日撮影)〔AFPBB News

 2月10日、ドナルド・トランプ政権発足後、初の日米首脳会議がワシントンで実施された。3日のジョージ・マティス米国防長官訪日に続き、トランプ政権での日米関係は上々の滑り出しだ。特に安全保障に関しては、日本にとって予想を超える成果を得たと言っていい。

 「尖閣諸島が安保条約5条の適用対象」であることが共同声明に初めて明文化され、核を含む「あらゆる種類の米国の軍事力」による対日防衛を確約させた。駐留経費問題は話題にも上らず、在日米軍の重要性を確認するだけでなく、米軍受け入れに「謝意」まで盛り込ませたのは安倍外交の勝利と評価できる。

 東、南シナ海で挑発行為を繰り返す中国、そして安倍晋三首相の訪米中にもあった核・ミサイルの恫喝を繰り返す北朝鮮に対し、日米の蜜月振りを見せつけたのは両国に対する強いメッセージとなったことは確かだ。

 だが、「安保は満額回答」といって手放しで喜ぶ日本の姿勢に、危うさを覚えるのは筆者だけではないだろう。

 2月3日、マティス長官の「尖閣は5条の適用対象」発言を「ニュース速報」で報じるメディアの当事者意識を欠いた属国姿勢、そして打つべき「次の一手」に係わる思考停止状態に対し、2月8日の拙稿「マティス発言にぬか喜び禁物、強か中国次の一手」で警鐘を鳴らしたところである。

1200人の高級官僚が決まるまでは全くの白紙

 日米首脳会談が大成功裏に終わったことは、率直に評価したい。だが国内に蔓延する安堵感、政府関係者までが「まるで宝くじが当たったよう」と舞い上がる姿には大いなる違和感を覚えるのだ。

 トランプ政権主要閣僚の議会承認は異例の「薄氷」採決が相次いでいる。いまだ閣僚人事で綱渡り状態だ。外交の要である安全保障担当補佐官マイケル・フリン氏が対ロ制裁問題で事実上更迭された。後任には現役陸軍中将のヒューバート・レイモンド・マクマスター氏が指名されたが未知数である。

 議会承認が必要な約1200人に及ぶ高級官僚が決まるには、少なくともあと数か月はかかるだろう。外交・軍事を含むトランプ政権の方向性は未だ不透明、不確定である。

 外交政策に安易な楽観論は禁物である。政治的任用の主要ポストがすべて確定し、トランプ政権が実質的に動き出すまでは、米国の外交・軍事政策は白紙と見た方がいい。

 今、日本に必要なのは、トランプ大統領の「ちゃぶ台返し」を防ぐ外交戦略の策定である。大成功裏に終わった日米首脳会談後の安堵感に浸っているときに、「ちゃぶ台返し」「手の平返し」は考えたくないものだ。だが、「考えたくないことを考え、考えられないことを考える」のが危機管理の鉄則である。

 英国のパーマストン卿が語ったように「永遠の同盟も、永遠の敵もない。あるのは国益であり、これを追求するのが政治家の責務」である。

 「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領は、政治経験も外交経験もない。過去に縛られず政策方針を決定できるところは、新大統領の強みでもあり、弱みでもある。同時に同盟国にとっては危うさでもある。

 日米首脳会談前日の9日、米中首脳の電話会談を行った。日米首脳会談に先立ち、「一つの中国政策」維持を表明するなど対中外交で配慮をみせた。

 政権発足前、トランプ氏は従来の「一つの中国」政策を巡って疑問を呈した。また慣例を破って台湾の蔡英文総統とも電話会談をした。これが一転して「今後も『一つの中国』を尊重する」と述べ対話重視を表明した。

 またトランプ氏は、これまでNATO(北大西洋条約機構)は「時代遅れ」だと発言してきた。だが、テリーザ・メイ英国首相との首脳会談では、一転して「100%」NATO支持を言明し、今後も重視していくと表明している。