(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年2月23日付)

トランプ大統領、治安・軍事力の強化宣言 逆風受け強硬姿勢

米メリーランド州で開かれた「保守政治行動会議(CPAC)」年次総会で演説するドナルド・トランプ大統領(2017年2月24日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

 ミュンヘン安全保障会議と言えば、かつては西側諸国の指導者たちが世界のさまざまな地域で起こっている邪悪で危険なことについて語り合う場所だった。しかし今年は、自国の民主主義を脅かす邪悪で危険なことがもっぱら話し合われた。

 誰もがそのリストの最上位に挙げていたのがドナルド・トランプ氏である。欧州勢はこの新大統領の就任以来の行動に不安を覚え、米国勢は大統領を暴走させないよう全力を尽くすと断言した。

 会議の中には変わらないところもあった。ロシアのベテラン外務大臣、セルゲイ・ラブロフ氏はいつものように登場し、儀式のように北大西洋条約機構(NATO)の不誠実さを批判した。ただ、ロシアびいきの傾向があったマイケル・フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が解任されてから、ロシア政府の足取りはいくぶん重くなっている。

 シリアのひどい紛争について、西側諸国の指導者たちは、自分にはどうすることもできないと頭を振るばかりだった。また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が失地回復の野心に燃えていることに警戒する向きも少なくなかった。

 トランプ氏については、政権が機能していないとか、仕事のやり方が常軌を逸しているとか、側近のイデオローグ*1と比較的正統派の閣僚が権力闘争を繰り広げているとか、さまざまなことが語られた。真実と嘘との境界線が消えつつあることには、誰もが絶望を露わにした。

 ジョン・マケイン上院議員をリーダーとする米共和党の代表団は、これから不愉快な衝突が生じるとの見立てを示した。マイク・ペンス副大統領は、大統領の外交政策を切って捨てておきながら大統領に忠誠を尽くしているかのように語るという離れ業を、何とかギリギリやってのけた。

 しかし、本当に気が滅入る討論は何だったかと言えば、それはトランプ氏に直接まつわるものではなく、有権者がトランプ氏をホワイトハウスに送り込んだという事実をめぐる議論だった。過去のデマゴーグたちと同様に、トランプ氏は社会の深刻な沈滞ムードがもたらしたチャンスをつかんだのだ、という議論がなされた。

*1=特定のイデオロギーを信奉する人